湿度のパラメータを究めるには、分圧を理解することから始めましょう。まず、海辺で砂浜に1メートル四方の正方形を描きます。ここに、大気圏を突き抜け、宇宙へと続く気柱があると想像してみてください。空気の重さは約10,300kgあります。この気団から、101,325ニュートン毎平方メートルの力を持つ静圧が生まれます。
これにより、パスカル [Pa]すなわちニュートン毎平方メートルと呼ばれる圧力の単位が定義されます。つまり、全圧です。わたしたちが呼吸する空気は気体が混ぜ合わさったものです。主な成分は、窒素(N2)、酸素(O2)、水蒸気(H2O)、アルゴン(Ar)、そして二酸化炭素(CO2)です。これらの成分は、分圧のドルトンの法則を使って、表されます。
この空気中で最も濃度が変化する成分が水蒸気で、水蒸気は、天候や気候、さらにはさまざまな産業プロセスやその他の日常生活に影響を与えながら、重要な役割を果たしています。
地球上では、水は3つの形態で存在します。氷と水、そして気体です。気体の水の最大量は温度に左右されます。温度が高いほど、水蒸気の分圧が上がります。つまり、空気中に溶ける水分量が増えるということです。特定の温度における最大水蒸気圧は、飽和水蒸気圧と呼ばれます。水蒸気圧はこの上限を超えることができません。これは空の雲を例にとると分かりやすいです。雲は、大気中の水蒸気圧が飽和水蒸気圧に達し、大気が気相状態の水を保持できなくなったときに形成されます。つまり、一部の水蒸気が凝結して、最終的には雨となって落ちてくる微小な水滴を形成することで、雲が発生しているのです。
相対湿度(%RH)とは、飽和点と比較して、何パーセントの水蒸気がその温度で存在するかを定義する概念です。雨が降っているとき、水滴を形成している雲の中では、間違いなく100%RHです。現在利用できる計測機器や技術は長年にわたり大幅に改良されてきましたが、それでも天候には驚かされることがあります。人類は環境を制御しようとする傾向があり、これが技術や産業の発展に大きく寄与してきました。洗濯物の乾燥であれ、非常に影響を受けやすい材料から最先端の技術を生み出すことであれ、人類は必要に応じて、制御した環境をつくりだしてきたのです。
濡れた綿のシャツ、リチウム電池の製造に用いられる電導度塩、それとHUMICAP®高分子薄膜センサに共通しているのものは何でしょうか?答えは、みな吸湿性材料ということです。吸湿性材料は、平衡状態に達するまで、周囲の環境から水分子を引き寄せます。ここで、相対湿度が重要な役割を果たします。物質の平衡水分含有量は相対湿度と密接に関係しているからです。そのため、わたしたちは携帯電話の電池は管理の行き届いた環境で製造され、時に水しぶきを受けても耐えられるよう保護されていると信じることができます。雨に濡れた綿のシャツはどうでしょう?雨に当たっていなくても、雨が降っていれば、屋外では、よく乾きません。しかし、衣類乾燥機に入れれば、シャツの乾燥速度を大幅に高めることができます。なぜ高温であれば、シャツの乾きが早いのでしょうか?乾燥キャビネットの中では、湿度が低いのでしょうか?端的に言えば、温度が上昇した空気は比較的乾燥しているということです。つまり、乾燥機の中では相対湿度が低くなり、綿のシャツは周囲と平衡を取ろうとして、乾燥するのです。
相対湿度は、所定の温度における水蒸気圧と飽和蒸気圧の比率です。
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