相対湿度計の校正・調整 ̶さまざまな方法の長短所

Custom Calibration

相対湿度計の校正や調整を行うには様々な方法があります。理想的には、すべての計測器が認定された校正室の標準器にて校正を受けることが最善です。 しかし現実的には、時間、経費、技術的要件、専門的技術、個々のニーズとの バランスを取る必要があります。

 

校正に関する用語

様々に異なる校正方法から最適な方法を 選択する際の参考になるように、メリットとデメリットを挙げながら代表的なもの をいくつかご紹介します。まずは、すべ ての校正作業に欠かせない4つの用語について説明します。

 

 

校正に関するキーワードとは?

校正 – 標準器を用いて計測器の表示値との関係を求めること。

調整 – 計測器を標準値に合うように調整すること。

校正周期 – 次回計器を校正するまでの時間。

実用標準 – 一次標準または二次標準を用いて校正された計測器で他の計測器 を校正するときに使用。

「calibration – 校正」とは?

「calibration – 校正」という語は、 通常は一部の例外を除き、比較および調 整を意味すると解釈されます。混同をさけ るために、校正という用語は、計測器の調 整は含まないものとお考えください。

適切な推奨校正時期とは?

ユーザー様が確認する方法とは

お客様がメーカーに推奨校正時期を問 い合わせることがよくあります。これは校 正周期を知る参考になりますが、実際は使用状況により計測器の性能が低下す まで定期的に校正(調整は含まない)を 行い計測器の履歴を作成します。「稼動 開始した」日からの最後の許容可能な校正結果を得るまでの経過時間が校正周期となります。この校正周期は、許容限 界までのパターンが認識されるまで校 正頻度を少なくしながらモニタリングし ていきます。 実用標準は必ずしも最も正確で繰り返しに適している必要はありません。実用標 準の測定性能は用途に適していれば充 分です。重要な点は、実用標準を二次標準または一次標準に対して定期的に校 正することと、その性能を慎重にモニタ リングし、記録しておくことです。
 

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1点校正と多点校正

お客様の使用される用途ではどのような校正が必要なのでしょうか?

現場での1点校正

これは固定設置されている計測機器を取 り外すことなく、実用標準を使って校正を 行う方法です。例えば、技術者が室内に入 りハンディタイプの実用標準器を使って 壁面に設置されているトランスミッタを 校正するような場合です。 この方法の主なメリットは、作業が迅速 にかつ容易に行えることです。現場の計 測器にダウンタイムを発生させることな く、しかも取り外しや設置のために余分 な作業の手間がかかりません。この方法 のデメリットとしては、現場計測器の正し い応答を示す2点目の校正ポイントが無 いことです。測定された条件が小幅で安 定している場合は、センサにやさしく息を 吹きかけ、反応や回復を観察することが適当であると考えられます。測定された条 件が広範囲に変化する場合は、多点校正 を実施することをお勧めいたします。

現場での多点校正

校正環境の温度が安定している場合、2 点または3点校正を湿度校正器で実施 することが可能です。既知の湿度レベル は、それぞれ固有な制限と要件をもつよ うに様々な装置で作り出すことが可能で す。例えば、飽和塩槽は経済的でかつ運 搬に便利です。ただし、飽和塩槽が大気 に触れた場合は、湿度平衡状態に達する まで充分な時間を確保する必要がありま す。また飽和塩槽のトレーサビリティは認 められていません。トレーサビリティは、 機器が校正を受ける飽和塩槽内で適切 な実用標準を使用する場合のみ確保す ることが可能です。 現場での多点校正のメリットは、現場計 測器が正常に動作しているかどうか広い 範囲で校正することができることです。し かし多点校正は、現場で行う作業が単純 な1点校正のように簡単に実施できない ことが難点です。技術者はより多くの装 置を必要とし、通常計器は校正時に動作 を停止する必要があり、多点校正作業を 完了するまでに1時間以上もかかります。 また現場では校正環境が整っていること は稀であるため、測定精度が極めて高い 校正を実現することは困難です。

自社内の校正室か校正室を持つ民間事業者か?

自社内の校正室

多くの企業は自社の計測方法や校正能 力の向上のために熱心に取り組んでいま す。企業ではメンテナンスが必要な計測 器が数多くあることや測定または校正の 必要性が発見されることがよくあります。 自社に校正室を持つことで数多くのメリ ットが提供されます。校正室の能力を企 業のニーズに合わせることが可能です。 計測器ユーザーは計測器性能を管理す る役割から完全に解放されるケースも あります。自社内の校正室では計測器の 校正周期を決めることができ、訓練を受 けた技術者が管理された環境で最高レ ベルの業務を遂行することができます。 迅速なターンアラウンドタイムが実現で き、カスタマイズされた「現場サービス」 を活用することで、自社の要件を満たす ことが可能になります。しかし校正施設が 現場から離れた場所にある大規模な組織 では、それらの利便性が最大限に発揮で きない場合もあります。

校正室を持つ民間事業者

校正サービスを提供する民間事業者が あります。通常は校正のために計測器は 設置されている場所から取り外され、校正室へ送られますが事業者の中には、 計測器の取外しと取り付けに人員を派遣したり、移動可能な校正室を使い現場で 校正を実施する事業者などがあります。 民間事業者の校正室サービスの利用は、 校正用機器の経費が計上されていない、 あるいは数量が少ない計測器の校正を 行う際に特に有益です。校正室の能力は 事業者により差がみられますが、NIST (米国立標準技術研究所)、AIST(産業 技術総合研究所)などの国立の校正施設 に次ぐ大変高いレベルの校正を実施する ところもあります。また、極端な温度範囲 における超高湿や超低湿など達成が 難しい湿度条件を専門とする事業者も あります。 計量法に基づくJCSS校正サービスを 求めるユーザーは、登録事業者であるか どうか注意をする必要があります。登録 事業者とは、校正室が独立行政法人製 品評価技術基盤機構認定センター(IA Japan)から審査を受け、登録を取得し ている事業者です。審査を受けた結果、 校正機関として登録されます。校正機関 が提供するパラメータとして校正範囲、不 確かさを定めています。認定機関は、認定又は登録を受けた校正室およびその校 正能力の記録を保有しています。

ヴァイサラのサポートサービス
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現場交換可能なセンサモジュールとプローブ

一部の湿度計測器メーカーでは、現場 での交換が可能な湿度センサモジュー ルや、あらかじめ設計仕様に合わせて校 正や試験を行った計測プローブを開発 しています。

交換可能なモジュール設計

交換可能なモジュールやセ ンサには、トレーサビリティが重視され る用途に対応するため、校正証明書が 添付されます。 これらの計測器は、ダウンタイムを最小 限に抑えて手早く容易に交換することが でき、再校正の必要がありません。難点 は、早めに校正計画を立て、校正予定日 までに新しいモジュールやプローブを 注文しなければならないことです。セン サモジュールやプローブの設計によって は、ハンディタイプの標準器を使って調 整可能なものもあれば、メーカーに調整 や修理を依頼しなければならないもの もあります。

 

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校正および修理サービス

ヴァイサラでは、計測機器のライフサイクル全体にわたって有益な校正サービスを提供しています。迅速な配送と優れた物流により、世界中に当社の校正および修理サービスを提供致しております。