臨床試験モニタリングのモバイル化で COVID-19 対策を支援

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ワイヤレスデータロガーによる移動式臨床試験所のモニタリング
ライフサイエンス
2020年6月、米国に拠点を置くある製薬会社が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の高齢患者向け治療の臨床試験を実施するため、革新的なプロジェクトを開始しました。パンデミックの発生当初から、高齢者介護施設は COVID-19 の感染拡大によって特に深刻な影響を受けています。米国での新型コロナウイルス感染症関連死の最大40%がこうした介護施設内で発生しているという説もあります。

このような悲惨な状況に対処し、長期介護を受ける高齢者を新型コロナウイルス感染症の治療に関する調査の対象とするために、臨床開発、治験薬供給、エンジニアリングの各分野の専門家からなるチームが、レクリエーション用車両(RV)を移動式の調査施設に改造するという案を提案しました。移動式の調査施設に加えて、臨床研究資材を輸送できるようにトレーラーのカスタマイズが行われました。

臨床試験は科学の分野における最も複雑で困難な事業の1つです。極めて重要な調査結果を無駄にしないためには、臨床試験によって得られるデータを慎重に収集し、保護しなければなりません。サンプルなどの貴重な研究資産を保管する試験所には、指定された条件で維持管理された保管環境が必要です。これらの記録は完全かつ正確に行わなければなりません。

この臨床試験を実施する製薬会社では、既に自社施設内の複数の cGMP(現行医薬品適正製造基準)環境で、温度、湿度などのパラメータのモニタリングにヴァイサラの viewLinc システムを使用していました。問題は、新しい移動式の調査施設で viewLinc システムのデータロガーを使用して、モニタリングデータを既存の viewLinc システムに返送し、逸脱に関するアラートを送信できるか、ということでした。さらに重要な問題として、ヴァイサラがそのようなソリューションをすぐに提供できるのか、という懸念がありました。

移動式の施設での臨床試験の実施は、COVID-19 の感染拡大前にはほとんど考えられないことでした。しかしVaiNet ワイヤレスモニタリング技術と、ヴァイサラのプロジェクトエンジニアの迅速な判断によって、この製薬会社は移動式の調査施設を30日以内に稼働させることに成功したのです。
 

モニタリングシステムを動員

その製薬会社がヴァイサラに連絡を取ったのは、移動式の調査施設としての装備を搭載した RV の内部に設置した冷蔵庫と冷凍庫で、モニタリングが必要だったためです。同社は RV で国内を巡回し、高齢者介護施設や高齢者福祉施設で臨床試験を実施しようと考えていました。一方で、パンデミックの発生と入居者に対する影響の深刻さにより、移動式の調査施設へのモニタリングシステムの実装にかけられる時間は、わずか数週間に限られていました。

冷蔵庫と冷凍庫は1日に20回以上開けられるため、内部の温度を数分ごとに記録して適切な状態を維持しなければなりません。温度データの履歴を自動化し、正確さと完全性を保ち、簡単に報告できることも必要です。理想的には、検証済みの既存の viewLinc モニタリングシステムにデータを保存することがベストです。最も重要なことは、温度の逸脱が発生した場合に、移動式の調査施設にいるスタッフにメールやテキストメッセージで直ちに警告が行われる必要があります。
 

最新の通信技術の活用

ヴァイサラのプロジェクトエンジニアは、シンプルな既製のモデムを使用して、複数の VaiNet AP10 ワイヤレスアクセスデバイスで移動式の試験所から通信を行うことを可能にしました。この通信では、RV のアクセスポイントから viewLinc サーバーへの接続に VPN を使用しません。この方法で必要なのは、モデムと AP10 が元々備えている通信機能のみです。

RFL100 ワイヤレス温度湿度データロガーには、ヴァイサラ独自の VaiNet ワイヤレステクノロジーが使用されています。VaiNet で使用される変調方式は、LoRa™ チャープスペクトラム拡散に基づいています。LoRa™(Long Range)は、低電力広域ネットワーク(LPWAN)プロトコルです。
VaiNet の屋内信号範囲は通常100mを超え、壁などの障壁も簡単に貫通できます。屋外では、信号範囲ははるかに広くなります。たとえば、スタッフが RFL-100 データロガーを移動式試験所の外に持ち出す場合、RV から数百フィート離れても、AP10 ネットワークデバイスとの接続を維持できます。AP10 アクセスポイントは、VaiNet ワイヤレスデータロガーの基地局として機能します。下記の図は、VaiNet のモバイル用途での通信方法を示しています。

Mobile Monitoring Application Diagram

 

低電力、シンプル、高速

この用途では、RFL100 の温度プローブを冷蔵庫と冷凍庫の内部に設置します。AP10 は、PoE(パワーオーバーイーサネット)などのイーサネットケーブルを使用して RV 内部のネットワークスイッチに接続されています。一般的な PoE ネットワークスイッチは、ネットワーク接続によって約48〜50ボルトの電圧を供給します。そのため、AP10 ネットワークアクセスデバイスには DC 電源アダプタが不要になります。モデムには同じく PoE 対応の 4G モデムが使用されています。これにより、モニタリングシステムへの電源供給に必要なコンセントは1つのみになります。ネットワークスイッチは電源コンセントを使用し、PoE を介して AP10 とモデムの両方への電源供給を行います。ただし、すべてのデバイスには電源アダプタが装備されているため、必要に応じて AP10 をモデムに直接接続することも可能です。
 
AP10 との通信にはモデムを使用しますが、RV 内部のコンピューターワークステーションではローカルインターネットアクセスも可能です。3G/4G モデムを AP10 と併用すると、AP10 によって使用されるデータ帯域幅が非常に少なくなるというメリットがあります。AP10 はそれぞれ最大32台の RFL100 データロガーをホストできますが、ワイヤレスモデムを通過するデータはごくわずかであるため、使用する帯域幅は非常に少なくなります。セルラーモデムの利用料は従量制のため、費用対効果に優れています。モデムは移動通信用の基地局と通信し、インターネット経由で検証済みの viewLinc サーバーにデータを送信することを可能にします。
 

共に歩み続ける

2020年に作られた移動式の調査施設は、現在、COVID-19 の感染拡大に対処するため全米の施設に配備されています。このような形で臨床試験が行われるのは初めてのことであり、実装に取り組んだ多くの科学者、プロジェクトマネージャー、エンジニアにとっては短期間で多くのことを学ぶ機会となりました。多くの人々が孤立している今、特に孤立を深め、深刻な影響を受けているのは、高齢者福祉施設や高齢者介護施設で暮らす人々です。ヴァイサラは、緊急事態における支援のために革新的な試みを行う研究組織にソリューションを提供できることを誇りに思っています。
 
 

宇宙環境に耐えるセンサMars Rover Space Proof Technology

ヴァイサラは、当社の計測技術が火星探査ローバーに搭載され、宇宙に向かっていることを誇りに思っています。これらの技術は元々、臨床試験とワクチンのモニタリング、医薬品の製造と流通、病院と血液/組織バンクなどの多数の産業用途を含む、地球上の多くの産業向けに開発されたものです。
 
ローバーに使用されているヴァイサラの2つの主要なセンサ、HUMICAP®BAROCAP® の詳細をご覧ください。
 
これらのセンサは既に貴社の産業用途にも採用されているかもしれません。
 

Indigo変換器を使用しますか?|それともセンサプローブだけで十分ですか?

ブログ著者:Jarkko Ruonala と Joni Partanen、および Indigo520
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ヴァイサラ Indigo 製品シリーズは、交換可能なプローブ(Indigo対応センサプローブ)、Indigo変換器、Indigo Insight ソフトウェアを備え、用途に応じて組み合わせてご使用いただけます。湿度、温度、露点、二酸化炭素、オイル内水分、過酸化水素蒸気などのさまざまな計測パラメータを選択できるように、多くのセンサプローブが用意されています。スマートプローブは、3つの異なる変換器(Indigo201、Indigo202、Indigo520)に取り付けることができます。しかし、どのような場合にセンサプローブだけで十分で、どのような場合にスマートプローブと変換器の両方が必要なのでしょうか。

スマートプローブは、ヴァイサラの歴史の中で確立された技術に基づいており、スマートプローブ自体に既に変換器の機能が含まれています。 

Indigo-compatible probe HMP7 with green indicator light in the probe body.

スマートプローブは、現場での使いやすさを考えて設計されています。プローブ本体のインジケータはプローブの状態を示し、標準化されたケーブルなど細部にまでこだわっています。このインジケータには、通信リンクが作動しているかどうかも示されます。インジケータが点滅し始めた場合は、データが正常にシステムに送信されています。例えば、床面から6mの場所や大型産業施設など、設置が困難な場所にプローブを設置する状況を思い浮かべてください。設置後、どうすればそれらのプローブが作動していることがわかるでしょうか。スマートプローブでは、本体インジケータを確認するだけで、プローブが作動していることも、プローブがデータを送信していることもわかります。異常が発生した場合は、インジケータが赤色に変わります。これは、高い品質を示す1つの例です。 

標準化されたケーブルも優れた柔軟性があります。もっと長いケーブルが必要になった場合でも、製品全体を返品する必要はありません。代わりに、標準の延長ケーブルを使用して変換器とプローブを接続することができます。

プローブだけを使用するか、またはプローブと変換器を組み合わせるかは、どのようなシステム接続を使用しているかによって決まります。たとえば、Modbus RTU シリアルプロトコルを使用できますか。電源の使用は合致しますか。ガルバニック絶縁の必要性がありますか。

プローブのみを使用する典型的なお客様は、OEM用途や、計測データを監視するための独自のユーザーインターフェイスを備えた統合型システムを構築しているお客様などです。システムのインターフェイスと電源仕様の要件を満たしている場合や、変換器が持つ応用機能を必要としない場合は、スタンドアロン型のスマートプローブをそのまま使用できます。ただし、スタンドアロン型のプローブを使用することに特にメリットがある特定の用途、または業界があるわけではありません。最初、スマートプローブと変換器を組み合わせて使い始めても、最終的に変換器を取り外す会社もあります。たとえば、ある製薬会社は当初、スマートプローブを Indigo201 変換器と一緒に購入しました。しばらくして同社は、Modbus を使用すれば計測に変換器は必要がないことに気づき、プローブのみを使用することに決めました。 

変換器を使用するメリット

indigo520 transmitter with a display showing trends.前述の通り、スマートプローブは、スタンドアロン型の計測機器として使用できますが、一方でIndigo 変換器と一緒に使用することで多くのメリットが生まれます。たとえば、変換器に付属するローカルディスプレイは、不明瞭な問題が発生した場合や、現場でメンテナンス作業を行う場合に便利です。潜在的なコストを大幅に削減できる場合があります。たとえば、プローブからのデータを変換器のディスプレイに表示できるため、ユーザーは何が起きているか見ることができます。 

実際の例を見てみることにしましょう。ある北欧のお客様は、カリブ海地域のエンドユーザーのために変換器なしの っスマートプローブを購入しました。そして、そのアナログ信号を使用して、エンドユーザーの自動化システムにプローブを接続しました。しかし問題が発生し、さまざまなトラブルシューティングを行ったにもかからず、エンドユーザーが根本原因を特定することができませんでした。最終的に、その購入代理会社が技術者をカリブ海地域に派遣しましたが、結局、アナログ信号のスケールが正しくなかったために、プローブが送信した信号にシステムが正常に応答できなかっただけであることがわかりました。この場合、もし購入代理会社がディスプレイ付きの変換器をシステムに接続することを選んでいれば、技術者を派遣する必要はありませんでした。最初からディスプレイ付きの変換器を購入していた方がコストを抑えることができたのです。 

メンテナンスの効率を求めるなら、アナログ変換器を使用して、専用サービスケーブルなども併用しながら技術者が計測機器を1つずつ点検するだけでは、十分ではないかもしれません。何百個ものセンサプローブがあるような大規模な産業施設では、ディスプレイ付きの変換器がよりよい選択肢かもしれません。 

変換器が重要である他の理由は、履歴データを表示できることです。自動化システムによっては、長期間のデータを保存しない、またはまったくデータを保存しないものもあるので、変換器にデータ保存機能があることは利点といえます。これは、現場でプロセス条件を点検するときに、トレンドビューから履歴データを分析できるので非常に便利です。イベントログ(事象の保存)も突発的に起こるプロセスの不具合を調べる上で非常に役立ちます。 

変換器が非常に耐水性に優れた配線ボックスであることも忘れないでください。変換器は、過酷な条件においても耐久性を備えています。すべて結線は変換器の筐体内で行います。すべての接続を変換器の筐体内で行うことができます。 

加えて、変換器には、条件の厳しい産業環境において必要不可欠な機能であるガルバニック絶縁が施されています。ガルバニック絶縁とは、電気回路を分離して迷走電流をなくす技術です。ガルバニック絶縁された回路間では、信号は行き来できますが、接地電位の差やAC電源により誘発された電流などの迷走電流は遮断されます。ガルバニック絶縁が施されていないと、計測値が不安定になり、正確なデータを得られなくなる可能性があります。最悪の場合、ガルバニック絶縁が施されていないために、デバイスが故障することもあります。産業環境でアナログ信号が使用されている場合は、Indigo 変換器をはじめとするガルバニック絶縁が施された機器の使用が望ましいです。 

アナログ通信?それともデジタル通信?

Indigo 変換器には、現在、Indigo201Indigo202、および Indigo520 の3種類があります。Indigo200 シリーズの変換器には3つのアナログ出力がありますが、Indigo520 には4つのアナログ出力があり、さらにその他の信号を自動化システムに送信することができます。過酸化酸素蒸気を計測する HPP270 シリーズのプローブのように、一部のスマートプローブには2つのアナログ出力がありますが、それらのプローブではさらに多くの項目を計測することもできます。3つ、4つ、またはそれ以上の計測項目がシステムに必要である場合、もっと多くのアナログ出力がある変換器が必要になります。 

アナログメッセージは、多くの場合、現代の産業用途に適さなくなっています。計測機器が正常に動作しているか、データは信頼できるか、計測値がゼロ表示される原因など特定のデータを送信するには、より高度な変換器が必要になります。例えば、ヴァイサラ露点センサは、自動補正機能を有し、定期的に補正をかけて高精度を保持しますが、ユーザーにとって自動補正機能がいつ実行されたかを把握することが重要な場合があります。アナログメッセージでは、これを表示することができません。計測状態をアナログメッセージで表示するには、リレーおよびバイナリ入力用の信号が必要になるかもしれません。この問題は、アナログチャンネルでのみ発生します。Modbus RTU、Modbus TCP/IP、または OPC UA などの通信プロトコルを使用する場合、機器から送信できる数値の数に制限はありません。 

アナログ出力はシンプルに見えますが、実際は、システムが信号を変換しなければならないため、より複雑である場合があります。一方、共通プロトコルでのデジタル通信では、変換器を既存の自動化システムに直接接続することができます。デジタル通信の別のメリットは、アナログ-デジタル変換に見られる誤差がないことです。アナログループを校正する必要もありません。これは、製薬業界などでは非常に効果的です。ユーザーは、センサを校正することに加えて、システムに入力されるアナログ信号も校正する必要がある場合があります。デジタル通信では、数値的メッセージは常に数値的に正確であるため、データ転送を校正する必要はありません。

信頼性と高品質

The Indigo520 transmitter in operation inside an ice block.

Indigo520 変換器は、実験室で徹底的にテストされています。計測機器は、ヴァイサラの試験理念に従って、標準で求められている以上のテストを重ねています。実際の現場で製品がどこまで耐えられるかについて正確に検証するために、テストでは、故障するまで変換器をさまざまな温度、湿度、塩霧、紫外線、機械的衝撃、および振動にさらします。この情報に基づいて、製品がテスト済みでその使用が正しいことを保証することができます。 

イーサネットに基づく Modbus TCP/IP を備えた Indigo520 変換器は、スマートプローブに理想的な変換器です。湿度、温度、露点、オイル内水分、二酸化炭素、および過酸化水素蒸気などを計測する幅広いプローブから選択できるため、さまざまな用途に使用でき、過酷な環境でも使用できます。Indigo 変換器およびプローブは、いずれも耐腐食性を備えており、さまざまな環境および温度に耐えることができます。Indigo520が設置された最も条件が厳しい環境の1つとして、オーストラリアのパースにある送電施設があります。製品は、直射日光を含め、さまざまな気候に24時間365日さらされています。 

変換器とスマートプローブを組み合わせて使用する場合は、変換器を取り外すことなく、スマートプローブのみを取り外して校正のために送付することができます。実験室で校正された交換用プローブを変換器に取り付けることができます。これにより、ダウンタイムを大幅に最小化することができます。

これらすべてを考慮したうえで、一般的に、スマートプローブとともにIndigo変換器のいずれかを選択することをおすすめします。

Indigo 製品シリーズの詳細はこちらからご覧ください。
または、Indigo520 変換器の導入事例をご覧ください。

 


 

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屋外環境でも耐久性に優れる:|ヴァイサラ Indigo500 シリーズ

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屋外設置向け
産業製造・プロセス
産業計測

屋外設置のご要求におこたえするために、ヴァイサラ Indigo500 製品シリーズの変換器と Indigo 製品シリーズの計測用スマートプローブは、過酷な環境下でも耐えられるよう設計されています。たとえば、ガスタービンの吸気中の湿度を計測する場合やディーゼル発電所の空調用空気の湿度を計測する場合に、計測機器を屋外に設置する必要があります。また、屋外計測に望ましくない用途もありますが、正しい計測のために屋外計測が必要とされる場合もあります。

屋外に機器を設置する用途において、湿度温度の計測が非常に一般的ですが、変圧器の絶縁油水分計測もあてはまります。他の屋外計測例としては、空調デマンド制御のための CO2 計測があります。この用途では、Indigo500のマルチパラメータ機能が大いに役立ちます。例えば、建物屋上に設置した変換器に、湿度・温度スマートプローブを追加接続することにより、CO2と相対湿度を同時に計測することができます。

屋外設置における3つの大きな課題

屋外設置向けの計測機器は、温度の変化、天候、日射(紫外線)という3つの大きな課題に耐えるだけの堅牢性が必要です。温度は最も検証しやすいパラメータの1つです。Indigo500は人工気候室で試験、検証済みであり、屋外の極端な温度下だけでなく、その温度の急激な温度変化にも耐えることが確認されています。

次に、屋外での気象計測の主な課題は変換器への水の侵入です。そのため、IP試験において水噴霧試験などの防水試験を実施し、構造全体の堅牢性を確保されていることを確認しています。また、筐体に水が浸入する要因としては水蒸気の状態での侵入もありますが、Indigo500変換器はこの水蒸気の侵入を防ぐよう設計されています。背面の呼吸用フィルターにより、変換器の内側と外側の間の水蒸気を均一にして、温度変化による変換器内の結露発生や圧力変化を防止できます。暖かい温度の筐体が冷たい降雨にさらされる際には筐体内に圧力がかかる場合があり、これによって筐体内に水が浸入する可能性が高まります。テストエンジニアは、この「トロピカルレイン」と呼ばれる試験を実施しています。

日射から保護するためには、紫外線に耐え、劣化しない材質としてアルミニウム合金を採用しました。酸化やさびの蓄積から保護する特殊な表面処理も施されています。こうした要素はすべて Indigo500変換器の設計に組み込まれています。また、研究開発の段階で環境適合性が検証されており、あらゆる屋外用途の要件において耐えられることを確認しています。最後に、当社では Indigo500変換器に対して、フィンランド南部の冬季に2年間にわたって屋外試験を現場で実施し、常に高湿度で雨天続きの環境においても問題なく動作することを実証しています。

屋内でも屋外でも正確に計測

用途が屋内でも屋外でも、旧型モデルで運用中のシステムにIndigo500変換器を接続するプロセスは同じです。同じシステムインターフェースと接続性(アナログ出力、リレー接点、イーサネット)、そしてローカルインターフェース(タッチパネルなど)を使用して、正確な計測データを転送できます。

屋外用途はIndigo500変換器の主な用途ではありませんが、屋外の装置と同じ水準を担保するため、厳しい設計要件を課しています。そしてもちろん、屋外用途で十分に耐えられるということは、屋内用途でも堅牢で信頼できるということでもあります。Indigo500は、使用する用途や場所を選ばず、長年にわたり信頼できる正確な計測データを担保するように設計されています。

Indigo500 シリーズ変換器の詳細を見る >

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Indigo500シリーズの|デュアルプローブサポート

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ラボ向け Indigo
屋内/室内空気質
温室/室内農業
産業製造・プロセス
産業計測
イノベーション・インスピレーション
ライフサイエンス

デュアルプローブサポートとは、独立した2つの計測装置と連携し、そのデータを表示、記録、および送信する単一の変換器またはモニタリング装置の機能を指します。この機能により、複数のパラメータや豊富なパラメータを同じ空間や別々の場所でより簡単に監視できるようになります。

2つのプローブで2つの異なるパラメータを計測する利点

環境やプロセスは多くの場合、複数の場所でさまざまなパラメータを監視する必要があります。製品の品質とエネルギー効率を確保するために、単一プロセスの吸気口と排気口の両方の状態を監視するのが一般的です。取り付ける場所が限られている場合、2つのプローブを備えた変換器1台を使うことが便利で実用的な選択肢です。例えば、複数のオイル脱水機を装備したオイル処理施設や1台の変換器で2つのオーブンを個別に監視できるパンの最終発酵工程(複数のオーブンを使用する場合)が挙げられます。

ライフサイエンス業界では複数のパラメータを 1 か所で監視することはよくあり、これには複数のセンサが必要です。過酸化水素による除染など特定の用途では、温度と気流にばらつきがある場合、より広い空間で複数の計測箇所が必要になることがあります。

このようなケースには、変換器を1台のみ使用して通信を簡略化し、整備された設置レイアウトを実現することができます。また、場合によっては設置コストや手間が抑えられ、所有コストの削減につながります。
 
総合的には、空間やプロセスの状態を把握できる範囲が広がることが2つのプローブで2つの異なるパラメータを計測するメリットです。複数の変数が製品の品質や運用のエネルギー効率に影響を与える場合、計測デバイスの設置スペースに制限されないことで、制御の判断を行うためのより良い見識や情報が得られます。 

使用可能な組み合わせ

ヴァイサラは湿度、温度、露点、二酸化炭素、オイル内水分、および過酸化水素蒸気など、さまざまな計測パラメータ用のスマートプローブを提供しているため、プローブの組み合わせは数多く考えられます。対応するスマートプローブでは、プローブの組み合わせの制限はありません。

ライフサイエンス用インキュベータの計測は多くの校正チェックにより継続的に行われます。そのため、インキュベータに GMP251 CO2 プローブと HMP9 湿度温度プローブの組み合わせを使用して、正確なpHレベルと湿度レベルを確保することができます。

流動層乾燥機、プラスチックの乾燥、およびカプセルへのコーティング塗布といった用途では、露点プローブを乾燥機の吸気口に設置し、湿度温度プローブを排気口に設置する組み合わせを使用できます。 

高い結露が伴う高湿環境では、加温プローブを水分レベルの計測に使用し、温度プローブを相対湿度などの変数の計算に使用できます。

高度な圧縮空気乾燥機では、2つの露点プローブを使用して乾燥機の排気口とパージエアを監視し、エネルギー効率を高めることができます。

また、オイル処理作業では、オイル内水分と空気の露点を監視して、オイルを充填する容器の乾燥度を確認することをお勧めします。

最もメリットを得られる業界と用途

デュアルプローブサポート付きの変換器のメリットを得られる用途がいくつかあります。空気をプロセスに供給し、排気を監視してそのプロセスの効果を判断する用途では、吸気口と排気口にデュアルプローブを使用できます。基本的に、プロセス前後の状態を計測する必要があるプロセスには、デュアルプローブサポート付きの変換器を使用できます。エネルギー資源やプロセス時間はこのような状態の影響を直接受けており、製品の品質を維持または保護するための制御判断をリアルタイムで行うことができます。

さらに、さまざまな場所で同様の計測が必要な用途では、単一の変換器に接続されたリモートプローブを使用できます。これにより、電力供給と通信支援が簡略化されます。ヴァイサラ Indigo500シリーズのPoE(Power over Ethernet)オプションに必要なのは、さまざまなパラメータ用の計測装置2台の電源供給と通信用のイーサネットケーブル1本のみです。

もう1つのメリットは、設置した変換器を取り外すことなく変換器から計測プローブを交換できることです。スペアプローブと簡単に取り替えて使用できるため、校正作業に役立ちます。プロセスの状態が変化した場合や、さまざまな状態を計測する場合にも柔軟性を発揮します。たとえば、乾燥機や環境試験チャンバーのメーカーがユーザの様々な状態向けに計測機器を提供する場合、1種類の変換器に標準化し、多様な状態用のプローブを提供できるようにすることにより、提供する製品を簡略化し、ユーザに最大の柔軟性を提供することができます。 

Indigoシリーズの詳細については各リンク先をご覧になるかこちらからお問い合わせください。

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ヴァイサラ TMP1 温度プローブは、精度や堅牢性が不可欠な製薬業界や校正試験所など、温度計測に厳しい要件が求められる産業用途向けに設計されています。

Vaisala HUMICAP® Humidity and Temperature Probe HMP4 is designed for high-pressure applications

HMP4 湿度温度プローブ

ヴァイサラ HUMICAP® HMP4 湿度温度プローブは、計測性能と多くの化学物質への耐性が重要となる、船舶・ブリージングエア・産業用途などにおける圧縮空気システムの高圧環境用途向けに設計されています。

Vaisala HUMICAP® Humidity and Temperature Probe HMP5 is designed for high temperature applications

HMP5 湿度温度プローブ

ヴァイサラ HUMICAP® HMP5 湿度温度プローブは、計測性能と多くの化学物質への耐性が重要となる、ベーキングオーブン、パスタ乾燥機、工業用乾燥炉などの高温環境用途向けに設計されています。

Vaisala HUMICAP® Humidity and Temperature Probe HMP7 is designed for applications which involve constant high humidity or rapid changes in humidity

HMP7 湿度温度プローブ

ヴァイサラ HUMICAP® HMP7 湿度温度プローブは、計測性能や多くの化学物質への耐性が重要となる、乾燥室やテストチャンバー、空調用空気、その他の環境試験器や気象観測機器などの常時高湿度または急速な湿度変化が伴う用途向けに設計されています。

HMP8 and HMP8L

HMP8 湿度温度プローブ

ヴァイサラ HUMICAP® HMP8 湿度温度プローブはプローブの挿入や取り外しが容易で、パイプラインへの挿入長の調整が求められる、圧縮空気システム、冷凍式エアドライヤ、環境チャンバーなどの圧力下用途向けに設計されています。

The Compact Vaisala HUMICAP® Humidity and Temperature Probe HMP9 is designed for easy installation in rapidly changing environments.

HMP9 極細湿度温度プローブ

ヴァイサラHUMICAP® HMP9 湿度温度プローブは、素早い応答性や計測性能、多くの化学物質への耐性が重要となる、急速に変化する環境に簡単に設置できるように設計されています。

The Vaisala CARBOCAP® Carbon Dioxide Probe GMP251 is an intelligent, stand-alone, %-level probe for stable and accurate CO2 measurements.

GMP251 CO₂プローブ

ヴァイサラCARBOCAP® GMP251 CO2プローブは、高濃度CO2計測用のインテリジェントプローブです。

The Vaisala CARBOCAP® Carbon Dioxide Probe GMP252 is an intelligent, stand-alone, ppm-level probe for stable and accurate CO2 measurements.

GMP252 CO₂プローブ

ヴァイサラCARBOCAP® GMP252 CO2プローブは、ppmレベルのCO2計測用のインテリジェントプローブです。

HPP271 and HPP272 probes with PEROXCAP® hydrogen peroxide sensor, H2O2 sensor for vaporized hydrogen peroxide concentration monitoring in bio-decontamination

HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ

ヴァイサラ HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ のHPP271およびHPP272は、繰り返し性と安定性、高精度な計測が不可欠な厳しい環境下における過酸化水素による除染用に設計されています

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除染プロセスを一変させる安定したH2O2蒸気の計測

生物学的安全キャビネットの除染
産業計測
ライフサイエンス
Netherlands

Van Veldhuijzen-Boxmeer Disinfection Services 社は、1990年以降、滅菌および除染サービスを提供してきました。同社のサービスには、表面、空気中、および水中の微生物分析も含まれています。こうしたサービスは主に、バイオセーフティレベル3の研究所、動物飼育場、クリーンルーム、安全キャビネット空気処理装置などで利用されています。2018年にVan Veldhuijzen-Boxmeer社は、除染用途のため、ヴァイサラ HPP272 過酸化水素蒸気プローブを Indigo201 変換器とともに購入されました。

H2O2蒸気は、その毒性の低さとさまざまな用途における有効性の高さから、除染剤としての利用が増えています。過酸化水素は、水と酸素に分解されるために、ホルムアルデヒドや二酸化塩素などの従来の除染化学物質よりも環境に優しく人にとって安全です。

信頼できるセンサ  

Van Veldhuijzen社のシニアエンジニア兼テクニカルディレクターのJos van Daal氏は、次のように述べています。「当社はHPP272 センサを18か月間使用した後で、2台目のヴァイサラのセンサプローブを購入しました。プローブを幅広く使用してみましたが、その性能に非常に満足しています。

当社ではヴァイサラのプローブを導入する前、別のセンサを使用していましたが、計測できるのは H2O2蒸気のみで、水分は計測できませんでした。以前のセンサでは H2O2蒸気の濃度が高い場合があったり、そうでない場合があったりしました。空気中の湿度が関係していたのでしょう。水分も計測できるヴァイサラのプローブにより、特に湿度が高い場合に、プロセスをもっと簡単に管理できるようになりました。湿度が最大70~80%の条件で作業することも珍しくないので、HPP272に出会えたことは本当によかったです。」  

Van Veldhuijzen社は、安全キャビネットを使用するバイオセーフティレベル3(BSL-3)の研究所で除染を行うことがよくあります。BSL-3の研究所は、一般的に、大学、研究病院、生産施設などにおける病原菌の研究に使用されます。これらの研究所は、簡単に除染を行えるようにできています。封じ込め対策の一環として窓は密閉され、HVACシステムにより作業エリアの空気の流れが感染性病原体を取り扱うエリアから分離されています。また、空気をフィルターでろ過してから再循環させるため、高性能粒子捕集エアフィルター(HEPA フィルター)を使用して直径0.3µmの粒子を99.97%捕集しています。

「生物学的安全キャビネットの空気処理装置のHEPAフィルターは、湿度が高いと詰まってしまう危険性があります」とvan Daal氏は述べます。「ヴァイサラ HPP272 プローブは、それを防止するのに役立ちます。除染プロセスの前に、プローブを使用して湿度を事前に計測します。計測の結果、湿度が60~70%を超えているようであれば、除染の前にドライヤーを入れます。そのエリアの湿度を把握することで、HEPA フィルターを損傷しないで済みます。

当社では、プロセスを実行する前にケミカルインジケータを入れ、指示薬の色が変化するまで待ちます。バリデーションの際には、ケミカルインジケータとバイオロジカルインジケータの両方を利用します。HPP272を使用するようになってから、プロセス時間が大幅に短縮され、お客様の作業中断時間も短縮されました。」 

プロセスを完了し、バリデーションを終えるまで、業務は再開できません。そのため除染時間を短縮することは重要です。「ヴァイサラのプローブを導入する前は、バリデーション結果に満足できないことがあり、プロセスをやり直さなければならないことがありました。研究所を使用中となるため、プロセスのやり直しはコストの増加につながります」とvan Daal氏は述べています。

湿度がH2O2濃度に与える影響 

「当社では、過酸化水素蒸気発生器を使用しています。安全キャビネットで発生器を使用すると、空気を乾燥させることができます。HPP272を導入した後、ドライヤーを使用せずにキャビネットで試験を行いました。プローブに示された相対水分飽和度が90%になると、H2O2 濃度が急激に下がりました。これは、相対湿度が相対水分飽和度に与える影響を示しています。」とvan Daal氏は述べます。相対水分飽和度は、水蒸気と H2O2 蒸気の混合気体の数値を示す、ユニークなパラメータです。このパラメータにより、オペレーターは凝縮が起きるタイミングを確実に予測することができます。

重要なのは湿度

「これらのグラフは、コンディショニングサイクルを2.0g/分で30分間行い、除染サイクルを1.0g/分で40分間行った場合の安全キャビネットの試験結果を示しています。使用した過酸化水素蒸気発生器は、サイクル中に空気を乾燥させることができます。最初はドライヤーを使用しませんでした。[図から] わかるように、相対水分飽和度が約90%になるまで濃度は上昇し、そして、相対湿度が30%でも濃度が低下しはじめました。その後、ドライヤーを作動させると、濃度が上昇しました。これを数回繰り返しました。」

Disinfection Biosafety cabinets

「このグラフは、プロセス中に相対水分飽和度と相対湿度の両方を知ることがいかに重要であるかを示しています。除染装置にHEPA フィルターが取り付けられている場合は、特にそうです。一般的に、部屋が大きい場合、湿度はそれほど問題にはなりません。エリアが小さくなればなるほど、湿度を制御することが重要になります。フィルターが取り付けられた部屋を除染する場合は、迅速なプロセスのために、1,500ppmまたは1,600ppmの高い濃度が必要になるかもしれません。ですが、湿度がどれくらいかがわからないと、フィルターが詰まる危険性があります。」

安定性、柔軟性、接続性

「HPP272 プローブは安定性に優れていることがわかりました。2台目のヴァイサラの過酸化水素プローブを購入したときに、それまで使用していたHPP272と比較してみたことがあります。両方のプローブとも同じ値を示したので、最初のプローブが安定していたことがわかりました」とvan Daal氏は言います。

「当社では、低電力デジタル無線信号用に設計された標準のワイヤレステクノロジーにより、メッシュ型ネットワークを介してラップトップ上のインターフェースにデータを取り込んでいます。このプローブには、バッテリとマイクロプロセッサー、小型の無線機を付加して使用しているため、研究所やガス発生器から離れた場所で結果を観察することができます。 

インラインデータをリモートで確認することが多いため、ワイヤレスシステムを利用しています。HPP272 プローブからデータをワイヤレスで取得するために、使用ユニットにリクエストを送信するプログラムをラップトップに搭載しています。除染対象のエリア内には、Xbee 無線モジュール、マイクロプロセッサー、RS232/RS485 シリアルインターフェース、バッテリ、およびHPP272 プローブで構成されたユニットを設置しています。

また、チャンバーの外側にもXBee、マイクロプロセッサー、アナログデジタル(ADC)変換器、バッテリ、および低濃度ガス感知器で構成された安全ユニットを設置しています。チャンバー内のユニットにより、HPP272からデータが読み取られ、ラップトップに送信されます。Xbeeデバイスの範囲は、環境内の信号障害物によって異なります。」

Van Veldhuijzen-Boxmeer Services 社の詳細については、同社ウェブサイトをご覧ください。

ヴァイサラの過酸化水素蒸気プローブの詳細をご覧ください。

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関連製品
HPP271 and HPP272 probes with PEROXCAP® hydrogen peroxide sensor, H2O2 sensor for vaporized hydrogen peroxide concentration monitoring in bio-decontamination

HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ

ヴァイサラ HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ のHPP271およびHPP272は、繰り返し性と安定性、高精度な計測が不可欠な厳しい環境下における過酸化水素による除染用に設計されています

業界専門家であるPiritta Maunu氏とSanna Lehtinen氏によるこの 1 時間のウェブセミナーでは、過酸化水素蒸気による除染における湿度計測の重要な点や、H2O2 プロセスにおける相対水分飽和度計測の役割と相対湿度との関連性を理解することの重要性について説明します。    

アジェンダ

  • 過酸化水素蒸気による除染中の重要な計測
  • コンテナや筐体の除染時の湿度計測におけるよくある落とし穴
  • 相対水分飽和度と相対湿度との重要な相違点
  • ヴァイサラ PEROXCAP® 技術の独自機能
  • 質疑応答

このウェブセミナーは以下のような方向けです。

  • OEM製造 
  • 除染サイクル開発マネージャー
  • 医薬品開発およびプロジェクトマネージャー 
  • バリデーションおよび品質担当者
  • 除染サービスプロバイダー
  • HVAC および施設マネージャー

 

詳細については、プライバシーポリシーをご覧ください。
こちらから環境設定の変更および登録の解除を行えます。

過酸化水素蒸気による除染で|COVID-19と戦う

研究所と動植物育成場における生物由来物質の過酸化水素蒸気による除染
産業計測
ライフサイエンス

2020年1月、世界保健機関(WHO)の国際保健規則(IHR)緊急委員会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を宣言しました。COVID-19感染者の臨床症状は、無症状から生命を脅かす疾患まで多岐にわたります。医師や研究者は日々新たな知見を得ている最中ですが、現在のところ、COVID-19はくしゃみや咳、汚染表面との接触を通じて感染すると考えられています。

米国疾病対策予防センター(CDC)によれば、COVID-19に対しては標準的な手順による除染が適しているとのことです。研究所のバイオセーフティ、除染手順に関するWHOの暫定ガイダンスでは「エンベロープウイルスに対する作用が証明されている適切な消毒剤(次亜塩素酸塩(漂白剤)、アルコール、過酸化水素、第4級アンモニウム化合物、フェノール系化合物など)」を推奨しています。

最近、韓国の疾病管理本部で Cleamix Oyが実施した除染作業では、この方法の有効性が実証されました。同社は2020年の初め、コロナウイルスの大流行の際に過酸化水素蒸気による除染を実施しました。Cleamixの除染デバイスは携帯可能で、非常に効率的な過酸化水素蒸気発生器です。この蒸気発生器は、除染時の蒸気の出力を自動的に制御するためにヴァイサラのHPP270シリーズプローブを使用しています。また、このプローブは安定した正確なモニタリングデータを提供するため、オペレーターはプロセスの状態をリアルタイムに観察できます。

バイオセーフティ研究所の除染

私たちは先日、コロナウイルスの大流行をきっかけに、Cleamixと韓国の疾病管理本部(KCDC)との共同作業について、同社のCEO Panu Wilska 氏に話を伺いました。

Wilska氏は次のように語っています。「KCDCにはバイオセーフティレベル2と3の研究所があり、総体積は2,500m3 に上ります。当社の現地パートナーであるBioAllとの除染契約では、両方の研究所が対象になっていました。各研究所はほぼ同じサイズで、複数の部屋、エアロック、廊下があります。すべてのエリアを除染するために、私たちは4台のポータブルネットワークCleamix蒸気発生器を使いました。」

バイオセーフティ研究所の目的は、所員の保護措置を講じて汚染を防ぎながら、感染性物質を安全に調査することです。バイオセーフティ研究所の設計と運用は、感染性病原体の研究に関する法律、ポリシー、規制、ガイドラインに準拠して行われます。このような研究は、病原菌を理解してワクチンやその他の治療薬を製造するために必要です。

バイオセーフティには4段階のレベルがあり、それぞれ実行できる研究の種類と実施すべき安全対策が定義されています。これらのレベルは、研究対象の病原菌に対する保護を提供するための実践、プロセス、システムに基づいており、BSL-1からBSL- 4の順に防護策と保護プロセスが強化されます。バイオセーフティレベル1は、脅威が最も小さい微生物に対する作業を対象にしています。バイオセーフティレベル2の研究所は、中程度のリスクを伴う病原体を研究します。特別な注意と保護が講じられ、アクセスと処置にはさらなる制約が加えられます。BSL-2の研究所は、バイオセーフティキャビネットなどの格納システムを使用します。

バイオセーフティレベル3の研究所は人命にかかわる可能性がある病原菌を扱うため、厳格に管理されています。監督官庁への登録が義務付けられており、厳格な除染手順が適用されます。BSL-3の研究所には、気流と空調の制御や、自動施錠二重扉など、特別な施設設計が必要です。バイオセーフティレベル4の研究所は、きわめてハイリスクの病原菌や病原性レベルが不明な病原体に関する研究を行います。このような研究所には最も厳格な保護、制約、規制、施設設計、機器の要件が適用されます。

効率的で効果的なインライン H2O2 濃度計測

「除染プロセスでは、HPP270 プローブによりH2O2濃度がかなり急速に上昇していることが計測されました」と、Wilska氏は述べています。「1区画の平均処置時間は、75分間に曝気時間を加えたものでした。処置が終わるごとに空調システムをオンにできたため、曝気は非常に迅速でした。このプロセスは生物指標で6logの死滅となり、有効性が確認されました。」

除染における6logの死滅とは、除染によって減菌された生存微生物の相対数を表します。1logの死滅では微生物の合計数が10分の1に減少し、6logの死滅では1,000,000 分の1に減少します。6logの減少は除染における一般的な目標であり、一方、滅菌はすべての微生物、ウイルス、芽胞を死滅させることを目標にします。オペレーター、機器、資材が比較的安全であるために、除染は使用されます。

Wilska氏はKCDCにおけるCleamixの作業を次のように要約しています。

「当社の除染は、作業に2営業日を要しました。今回のことで、これらのエリアのレイアウトと除染作業について把握できたので、今なら同じ作業を1日で完了できるでしょう。KCDCによれば、以前、別のベンダーが実施したときには、作業が完了するまでに4日間かかったそうです。7日間のインキューベーションの後、当社による除染の結果が一切の疑いなく確認されました。プロセスは100%成功でした。」

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関連製品
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HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ

ヴァイサラ HPP270シリーズ 過酸化水素・湿度・温度プローブ のHPP271およびHPP272は、繰り返し性と安定性、高精度な計測が不可欠な厳しい環境下における過酸化水素による除染用に設計されています

プローブ付きIndigo520

Indigo500シリーズ 変換器

ヴァイサラIndigo500シリーズ 変換器は、ヴァイサラIndigoシリーズのスタンドアロン型スマートプローブ用のホストデバイスです。Indigo500シリーズには、多機能のIndigo520 変換器と、基本機能を備えたIndigo510 変換器があります。

このウェブセミナーでは、H2O2蒸気発生器のメーカーを招き、ヴァイサラのセンサ技術担当者が、ヴァイサラのセンサと変換器を過酸化水素蒸気による除染用途に組み込む方法のデモを行います。

また、ヴァイサラのPEROXCAP®センサ技術と、過酸化水素蒸気、温度、湿度などの複数のパラメータを相対水分飽和度、相対湿度の両方で計測する機能について簡単に説明します。相対水分飽和度は ヴァイサラHPP270シリーズセンサ独自のパラメータで、除染プロセスについての理解を深めるためには不可欠です。ウェブセミナーでは、このパラメータが除染プロセスにどのように役立つかについて説明します。 

また、ヴァイサラのセンサ技術を管理システムと組み合わせることで、正確な計測と一貫性のある除染プロセスを実現する方法についてご紹介します。セミナーでは、フィンランドのH2O2蒸気発生器メーカー、Cleamixの事例について取り上げます。同社のCleamix VCS-100 ポータブルデバイスシリーズでは、ヴァイサラのH2O2センサを使用して蒸気の発生をモニタリングし、管理しています。統合したセンサによるモニタリングと管理の利点について、Cleamixの担当者2名が説明します。Cleamixのプレゼンターは、病室の効果的な除染の事例を紹介します。 

 

このウェブセミナーは以下のような方向けです。 

 

  • 除染用装置のメーカー
  • 除染サイクル開発担当者
  • 医薬品開発およびプロジェクトマネージャー
  • バリデーションおよび品質担当者
  • 除染サービスプロバイダーとコンサルタント
  • 施設マネージャー
  • H2O2による除染のベストプラクティスについて研究している方

除染ガイド(Bio-decontamination Guide)をダウンロードする(英語)

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事例:過酸化水素蒸気を使用した予防的な|スーパーバグとの戦い(英語)

この事例では、フィンランドの OEM Cleamixがどのようにして効率的で費用対効果に優れた除染用ポータブル過酸化水素蒸気発生器を製造したかを紹介します。

過酸化水素蒸気による除染は、対処的ではなく、予防的に使用することができます。これらの病原菌を死滅させるのは困難で、人に感染した場合、治療するのはもっと大変です。こまめに除染することで流行を食い止めることができますが、携帯可能で、効率が高く、安価な機器が必要になります。

 - Cleamix Oyj CEO、Panu Wilska 氏

 

 

ヴァイサラ、スマート計測のための|6種類の湿度温度/露点計測プローブと|油中水分計測プローブの販売を開始

Submitted by chiaki.nakamoto on
DMP6
プレスリリース

[News Release]
報道関係者各位

2020年2月13日
ヴァイサラ株式会社

ヴァイサラ、スマート計測のための
6種類の湿度温度/露点計測プローブと
油中水分計測プローブの販売を開始

--- 産業計測スマート化への可能性 ---

 

 ヴァイサラ株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役:ヴェリ・ソレフマイネン、以下ヴァイサラ)は、厳しい要件が求められる産業用途向けに設計された6種のスマートプローブを2月13日より販売開始いたします。
 「HMP3 湿度温度プローブ (以下、HMP3)」
 「DMP5 露点プローブ 高温環境用(以下、DMP5)」
 「DMP6 露点計測用プローブ 過酷な高温環境向け(以下、DMP6)」
 「DMP7 露点プローブ 小スペース環境設置向け(以下、DMP7)」
 「DMP8 露点プローブ 高圧パイプライン用(以下、DMP8)」
 「MMP8オイル内水分プローブ(以下、MMP8)」

■ 迅速な応答性、長期安定性、豊富な仕様
 この度新しく発売されたHMP3、DMP5、DMP6、DMP7、DMP8、MMP8の6種類のプローブは、次世代の工業プロセスにおけるエネルギー節減や、プロセスの最適稼働、製品の品質向上のために、露点、オイル内水分計測の新しい可能性の選択肢として、「ヴァイサラ Indigo製品シリーズ」のラインアップに加わります。
 本プローブの主な機能で特筆すべき点は、正確で信頼できる計測データを収集しユーザに提供することで個々の現場でのプロセス効率を向上できるという点です。6種のプローブには次世代のセンサ技術が搭載されています。全てのDMPプローブ、DMP5、DMP6、DMP7、DMP8には、ヴァイサラの独自技術であるDRYCAP®露点センサが搭載されており、低湿高温または高圧のプロセス環境においても最適化がなされています。露点計測はオーブンや圧縮空気システムなど、多様な産業分野で特に重要視されています。ヴァイサラのDRYCAP®センサは汚染粒子、結露、オイル蒸気、多くの化学物質に対して耐性があります。迅速な応答性と安定性で、雰囲気状態の変化が大きい環境や低露点環境での使用でも圧倒的な性能を発揮できるため、頻繁なメンテナンスによるプロセスの稼働停止時間を大幅に低減することが可能です。
 MMP8オイル水分プローブでは、実績のある高分子薄膜静電容量式のヴァイサラ 湿度センサHUMICAP®を搭載し、変圧器等の絶縁油やエンジンの潤滑油内の水分を連続で計測することができます。連続したトレンドを監視する事により高額な機器の故障や劣化、稼働停止等のトラブルの回避に役立てることができます。
 同じくヴァイサラHUMICAP®を搭載したHMP3湿度温度プローブは、一般的な工業プロセス向けに設計されたプローブで、現場でのメンテナンスを柔軟に実施できます。頻繁な交換が必要となる用途に適しています。
 本プローブは、「ヴァイサラ Indigoシリーズ ホストデバイス」と互換性があり、Modbusプロトコルに対応しているため、Indigo シリーズ ホストデバイスに接続せずに単独で使用することもできます。Indigo シリーズ ホストデバイスと組合せてご使用頂けばオプションのディスプレイでデータを可視化したり、スマートフィン等を用いてWifi経由での容易なプローブ設定や電流・電圧、接点信号等の豊富な出力を使用頂けるメリットもございます。
 またこれらのスマートプローブは、ヴァイサラ Insightソフトウェア(無料)に対応しており、機能設定、計測値モニタリングが簡単に行えます。また、ヴァイサラ Insightソフトウェアを使用することで、これまでよりスムーズに校正作業を実施できます。

■ 湿度・露点計測・オイル内水分計測のための多様なオプション
 本プローブシリーズは計測が難しいといわれる露点やオイル内水分計測の中においても、狭小スペース用、高温環境、高圧、または急激な湿度変化を伴う過酷な条件下でも優れた性能を発揮できるように設計されています。6種類のプローブから、用途に応じた最適なモデルを選択できます。

HMP3 一般的な工業用途で利用できるよう設計されており、塗装ブース等、頻繁に校正が必要な使用環境に適しています。
DMP5 オーブンなどの高温環境用途向けに設計されており、断熱材を貫通して簡単に取り付ることができ、挿入長も調節できます。
DMP6 0+350℃の温度範囲で直接計測が可能な構造設計で、過酷な高温環境用途向けに設計されています。また汚染物質、オイルミスト等多くの化学物質に耐性があります。
DMP7 低露点環境における計測に適し、半導体製造機器などスペースに制約がある場所や、圧縮空気システム、ドライルーム等の小スペース環境設置向けに設計されています。
DMP8 工業用乾燥工程、圧縮空気システム、半導体製造等、産業用の低露点環境における計測に適した設計で、高圧パイプライン用に設計されています。オプションのボールバルブ取り付けキットを使用することで高圧のラインにおけるプロセス稼働中でのプローブ脱着が可能です。
MMP8 変圧器等の絶縁油、エンジン等の作動油、潤滑油等のオイル内水分計測用に開発されたものです。

■ ヴァイサラ Indigo製品シリーズについて
 ヴァイサラ Indigo製品シリーズには、交換可能で高性能な計測プローブ、オプションのホストデバイス、ヴァイサラ Insightソフトウェアがあります。これらのプローブは、多くの実績を誇るセンサ技術であるヴァイサラHUMICAP®、CARBOCAP®、PEROXCAP®などを擁しています。これらのセンサ技術は、最新の産業プロセスにおいて業界屈指の性能を担保するために、絶えず開発を行っています。ヴァイサラ Indigo製品シリーズは、工場や産業プロセス、装置中における湿度、温度、二酸化炭素、過酸化水素蒸気などの計測に最適です。詳細はwww.vaisala.com/ja/indigoをご覧ください。


■ ヴァイサラについて
ヴァイサラ社は、環境/産業計測分野における世界的なリーディング企業です。当社は80年以上にわたる経験を活かし、より良い世界に向けた観測を提供します。ヴァイサラは世界各国のお客様にとって、革新的な観測・計測機器とサービスを総合的に提供できる信頼されるパートナーです。本社であるVaisala Oyjはフィンランドのヘルシンキにあり、世界各国に約1,850人の社員を有し、NASDAQ Helsinki に上場しています。当社に関する詳細は、www.vaisala.comおよびwww.twitter.com/VaisalaGroupをご覧ください。

● HUMICAP、CARBOCAP、PEROXCAPはヴァイサラ社の商標です。
● 本報道発表資料に記載されている内容は発表日現在の情報であり、予告なく変更される場合があります。

薬剤耐性菌感染症(スーパーバグ)に先手を打つ戦い:過酸化水素蒸気除染におけるイノベーションと協力

Submitted by janice.bennett on
除染用のポータブル過酸化水素蒸気発生器
産業製造・プロセス
産業計測
ライフサイエンス
Finland

2014年に英国が委託した第三者機関による報告書では、2050年までに薬剤耐性菌感染症によって1,000万人が死亡し、100兆米ドルを超える費用が発生する可能性があると推定されました(参考:「Antimicrobial Resistance: Tackling a Crisis for the Health and Wealth of Nations」)。薬剤耐性菌感染症、いわゆる「スーパーバグ」には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、クロストリジウム・ディフィシル(C. ディフィシル)、カンジダ・アウリスなどの耐性菌があります。この新たな問題に対して、国連事務総長は2016年に、The Interagency Coordination Group(IACG、組織間調整グループ)を設立しました。IACGは、2019年4月、国連に対して「No time to Wait: Securing the future from Drug-resistant Infections」(待っている時間はない:薬剤耐性感染症から未来を守る)と題する報告書を提出しました。

イノベーションと協力

この報告書では、薬剤耐性(AMR、Antimicrobial Resistance)の脅威に対抗するために、「未来を守るためのイノベーション」と「より効果的な行動のための協力」を含む5つの推奨事項が示されています。フィンランドでは、VTT フィンランド技術研究センター、ポータブル過酸化水素蒸気発生器メーカーの Cleamix、産業計測システムおよびセンサメーカーのVaisala Oyjの間で、薬剤耐性病原体と戦うための協力とイノベーションを行っています。

このイノベーションは、フィンランド空軍が生物毒素と微生物兵器を破壊する方法を模索することから始まります。米軍は、過酸化水素蒸気が除染剤として有効である可能性があることを示す初期研究を数多く行っていました。問題は、市販のH2O2蒸気発生器のほとんどが大きすぎて、現場に配置できないことでした。そこでフィンランド軍は、持ち運び可能で費用効果が高く、十分な過酸化水素蒸気の出力が可能な蒸気発生器を見つけました。

フィンランドの機器メーカーであるCleamixは、この問題を研究するために設立され、必要な濃度の過酸化水素の蒸気を十分な量生成できる軽量の蒸気発生器を製作しました。しかし、蒸気が微生物を破壊するのに効果的であることを保証するために、CleamixはH2O2蒸気の適切な濃度を一定期間ごとに指定する装置を必要としていました。そのためには、過酸化水素蒸気の濃度だけでなく、水分と過酸化水素蒸気の組み合わせから得られる湿度の値(相対水分飽和度 RS%)や温度などの他の重要なプロセスパラメータの両方を計測できるセンサが必要でした。

 「コックピットや救急車、アイソレータ、手術室(実際には、汚染される可能性のあるすべての領域)を除染する場合でも、H2O2蒸気だけでなく相対水分飽和度の値が計測できるインラインセンサが必要です。現在の温度で、いつ結露が発生するかが分かるからです。相対水分飽和度とは、水分と過酸化水素蒸気の組み合わせから得られる湿度値を示すものです。」 - Cleamix CEO、Panu Wilska 氏


公益のために働く民間企業

Panu Wilska氏は、原子物理学からハイテクスタートアップ企業のマネジメントに至るまで、25年以上の国際的な経験を持ち、2016年にCleamixに入社しました。Panu Wilska氏は同社の顧問、取締役、取締役会議長を歴任し、現在ではCEOを務めています。Cleamixは、ヴァイサラが過酸化水素蒸気用のセンサを開発しており、そのセンサがH2O2のppmと温度、そして、最も重要な飽和点も含めた複数の値を計測できることを知りました。各パラメータ(温度、相対湿度、H2O2のppm)の値を計算することは技術的には可能ですが、それぞれにセンサが必要です。

組み合わさった新技術

ヴァイサラはPEROXCAP® 技術を編み出し、Cleamixはシリーズ(HPP270)最初のプローブをテストした企業の1つでした。プローブは、除染下の状態を計測するために蒸気発生器とともに使用できます。また、プローブを統合して、プロセス要件に応じて蒸気の出力を制御することもできます。ヴァイサラ HPPシリーズプローブでは、リアルタイムのプロセス制御が可能です。そのため、プロセス中の変化する環境条件に合うよう、Cleamix製蒸気発生器の出力を調整する必要がある場合、発生器がプローブデータから自動的に調整できるようにします。

Cleamix は、軍と協力し、軍の研究センターで廃墟となった建物の中で、殺虫剤として気化した過酸化水素蒸気を使って、必要な濃度レベルを特定するテストを行いました。 Cleamix は当初、2つのモデルのポータブル発生器を製作しました。大型モデルの重量はわずか9.5kg で、10立方メートル以上の領域を除染できます。通常、100立方メートルごとに1台の蒸気発生器を使用し、広範な領域に対しては複数の蒸気発生器をネットワーク化できます。小さいモデルの重量は6kg で、キャビネットや筐体、実験室のキャビネット、救急車といった車両や航空機など、1〜20立方メートルの領域に最適です。Cleamixの装置を使用した第三者機関によるテストでは、蒸気効率比(気化する過酸化水素水溶液の量)が90%を超えることが分かりました。

効率的で、効果的な除染

Cleamix製発生器は、5時間半の全出力連続運転に約1リットルの液体H2O2を使用します。位相変化法、大気圧下や大気圧を超える圧力での加速蒸発、第三者機関検証の有効性を組み合わせて、同社は現在、独自の技術で26件の特許を申請中です。

追随するイノベーション持ち運べるだけでなく、Cleamix蒸気発生器は混合した液体を気化させることができます。一般的な用途では、50%のH2O2 水溶液が必要ですが、少量のアンモニアを加えると、蒸気は神経ガス兵器を含む他の病原体を破壊することができます。Cleamix製H2O2蒸気発生器は2つの異なる軍事組織によって独立してテストされ、VXガスとサリンを含むすべての神経ガスをうまく中和することが分かっています。今年は、新しいスーパーバグのカンジダ・アウリス(C. アウリス)を研究している研究所で、Cleamixの装置のテストが行われました。

この急速に姿を現した菌類病原体は2009年に日本で最初に発見され、3つのクラスの抗真菌剤すべてに耐性があるため、生命を脅かす感染症を引き起こす可能性があります。Cleamixのテストでは、酢酸が除染を加速することが分かっていますが、C. アウリスは高濃度の過酸化水素蒸気のみで破壊することもできます。

最先端のソリューションと対峙する新たな脅威

2019年4月、C. アウリスに関する「A Mysterious Infection, Spanning the Globe in a Climate of Secrecy」(世界中でひそかに広がる謎の感染症)と題する記事がニューヨーク・タイムズ紙に掲載されました。この記事の中で、スペインや英国、米国の数州にある病院と医療センターで、最近発生した流行が報じられています。疾病予防管理センターは、差し迫った脅威のリストに C. アウリスを追加しました。世界的に見ると、C. アウリスの流行はインド、パキスタン、南アフリカで発生しています。カナダ公衆衛生庁(PHAC)と南アフリカの Centre for Opportunistic, Tropical and Hospital Infections(COTHI、日和見感染症、熱帯感染症、および院内感染症センター)が C. アウリスの対策に関する暫定的な勧告を発表し、他の除染剤や除染法に加えて、可能な場合には過酸化水素蒸気を使用するよう提言しています。(参考:「Candida Auris: Disinfectants and Implications for Infection Control」)。

「C. アウリスには、H2O2蒸気を含む多くの殺生物剤に対する高い耐性がありますが、他の薬剤を混合したH2O2蒸気によって効果的に破壊することができます。使用する他の液体は、過酢酸や酢酸など、より酸性の高いものでなければなりません。弊社は、さまざまな研究所とのテストに携わる機会が増えています。これが、Cleamixの装置の蒸発法によって液体の組み合わせが可能になることが重要であった理由です。」

過酸化水素蒸気による除染は、対処的ではなく、予防的に使用することができます。これらの病原菌を死滅させるのは困難で、人に感染した場合、治療するのはもっと大変です。こまめに除染することで流行を食い止めることができますが、機器は持ち運びが可能で、高効率で、手ごろな価格である必要があります」 - Cleamix、Panu Wilska

パラメータの誕生

Cleamixは、ヴァイサラとの連携を開始するまでにすでに他の過酸化水素センサをテストしていましたが、安定していて、正確で、統合が容易で、なおかつ必要なすべてのパラメータの計測が行えるセンサが必要でした。「水蒸気と H2O2 蒸気が混合した相対水分飽和度を計測できる装置が必要でした。当初のテストでは、目に見える結露を回避する『ドライ方式』の除染を使用していたからです。」とWilska氏は語ります。

ヴァイサラのエンジニアは、除染中に最も重要となるパラメータであるH2O2のppm、湿度、温度を計測し、制御できるセンサを製作しました。こうして、相対水分飽和度という新しいパラメータが誕生したのです。このパラメータは、オペレーターが結露を回避するプロセス(ドライ方式蒸気除染)か結露を含むプロセス(ウェットプロセス)かを確認するのに役立ちます。HPP270シリーズプローブにヴァイサラの新PEROXCAP®技術を搭載したCleamixの装置では、既知のH2O2濃度値を計測できます。除染において重要なプロセスパラメータは、H2O2のppm濃度、温度、相対湿度、曝露時間です。 

H2O2 vapor sensor

薬剤の研究、開発、製造では、バッチ間やプロセス間の除染が製品の品質にとって重要です。多くの場合、同一の過酸化水素センシング機器が複数の異なる製品やプロセスに使用されます。ヴァイサラのHPP270シリーズプローブは、再現性の高い計測が可能で、複数のプロセスに理想的であり、現場での校正が容易です。過酸化水素蒸気の除染からメリットを受ける他のライフサイエンスの用途には、薬剤の有効成分の処理、調剤薬局、流通センターがあります。

現在Cleamix は、装置を独立の蒸気発生器として、もしくはより広い領域や空調システム用のネットワーク化されたモジュールとして提供しています。顧客には、除染サービスプロバイダー、病院、軍事組織や防衛組織、農業研究施設や動物研究施設、製薬会社などがあげられます。

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Cleamix蒸気発生器の詳細については、cleamix.comをご覧ください。
過酸化水素蒸気の計測、モニタリング、制御に関するヴァイサラのソリューションの詳細については、こちらからご確認ください。

 

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