臨床試験モニタリングのモバイル化で COVID-19 対策を支援
このような悲惨な状況に対処し、長期介護を受ける高齢者を新型コロナウイルス感染症の治療に関する調査の対象とするために、臨床開発、治験薬供給、エンジニアリングの各分野の専門家からなるチームが、レクリエーション用車両(RV)を移動式の調査施設に改造するという案を提案しました。移動式の調査施設に加えて、臨床研究資材を輸送できるようにトレーラーのカスタマイズが行われました。
臨床試験は科学の分野における最も複雑で困難な事業の1つです。極めて重要な調査結果を無駄にしないためには、臨床試験によって得られるデータを慎重に収集し、保護しなければなりません。サンプルなどの貴重な研究資産を保管する試験所には、指定された条件で維持管理された保管環境が必要です。これらの記録は完全かつ正確に行わなければなりません。
この臨床試験を実施する製薬会社では、既に自社施設内の複数の cGMP(現行医薬品適正製造基準)環境で、温度、湿度などのパラメータのモニタリングにヴァイサラの viewLinc システムを使用していました。問題は、新しい移動式の調査施設で viewLinc システムのデータロガーを使用して、モニタリングデータを既存の viewLinc システムに返送し、逸脱に関するアラートを送信できるか、ということでした。さらに重要な問題として、ヴァイサラがそのようなソリューションをすぐに提供できるのか、という懸念がありました。
移動式の施設での臨床試験の実施は、COVID-19 の感染拡大前にはほとんど考えられないことでした。しかしVaiNet ワイヤレスモニタリング技術と、ヴァイサラのプロジェクトエンジニアの迅速な判断によって、この製薬会社は移動式の調査施設を30日以内に稼働させることに成功したのです。
モニタリングシステムを動員
冷蔵庫と冷凍庫は1日に20回以上開けられるため、内部の温度を数分ごとに記録して適切な状態を維持しなければなりません。温度データの履歴を自動化し、正確さと完全性を保ち、簡単に報告できることも必要です。理想的には、検証済みの既存の viewLinc モニタリングシステムにデータを保存することがベストです。最も重要なことは、温度の逸脱が発生した場合に、移動式の調査施設にいるスタッフにメールやテキストメッセージで直ちに警告が行われる必要があります。
最新の通信技術の活用
RFL100 ワイヤレス温度湿度データロガーには、ヴァイサラ独自の VaiNet ワイヤレステクノロジーが使用されています。VaiNet で使用される変調方式は、LoRa™ チャープスペクトラム拡散に基づいています。LoRa™(Long Range)は、低電力広域ネットワーク(LPWAN)プロトコルです。


前述の通り、スマートプローブは、スタンドアロン型の計測機器として使用できますが、一方でIndigo 変換器と一緒に使用することで多くのメリットが生まれます。たとえば、変換器に付属するローカルディスプレイは、不明瞭な問題が発生した場合や、現場でメンテナンス作業を行う場合に便利です。潜在的なコストを大幅に削減できる場合があります。たとえば、プローブからのデータを変換器のディスプレイに表示できるため、ユーザーは何が起きているか見ることができます。 

