宇宙環境にも耐える技術の開発
ヴァイサラの圧力センサと湿度センサは、フィンランド気象研究所(FMI)の協力を得て、NASAの火星探査プログラムの一環でまもなく再び火星へと向かいます。このような宇宙環境に耐えるセンサは、当社の全センサが開発および製造されている、ヴァイサラのクリーンルームで製造されています。宇宙の過酷な条件下では技術面で高い基準が求められ、メンテナンスや修理なしでも耐久性を発揮する、最大限の信頼性を備えたセンサが必要になります。
「パーサヴィアランス(Perseverance)」と名付けられた火星探査ローバーは、ヴァイサラの圧力センサと湿度センサを搭載しています。センサはフィンランド気象研究所(FMI)が設計した計測器に組み込まれ、火星の大気から気圧や湿度の正確なデータを収集するために使用されます。
これらは、ヴァイサラとFMIが201 年に火星探査ローバー「キュリオシティ(Curiosity)」に提供したデバイスの最新版です。「キュリオシティ」は火星で水の痕跡を発見しました。
火星で使えれば、どこでも使える
火星、そして宇宙全体の条件は非常に過酷なものです。センサを含む計測機器は、極度の高温や低温だけでなく、宇宙移動時の乱流にも耐えなければなりません。火星に到着した後は、メンテナンスなしで数年にわたって稼働し、データを正確に提供する必要があります。
火星で使える技術はどこでも使えると言われています。
探査ローバーに搭載されるのは最高レベルの技術だけであるため、このプログラムで当社の技術が選ばれたことを大変光栄に思います。このプロジェクトで搭載されるすべての技術に求められた努力と決意を考えると喜びもひとしおです。
ヴァイサラの湿度センサと圧力センサは優れた長期安定性と精度で知られており、非常に過酷な環境でも稼働する堅牢性を備えています。どちらのセンサも、環境面と産業面で過酷な条件向けに開発されたものです。
ヴァイサラでは、独自の試験所でセンサを開発および製造しています。自社のクリーンルーム施設とセンサ工場は、ヴァイサラの成功を後押しするコア機能といえます。また、22%を超えるヴァイサラ社員が研究開発に携わっており、技術開発部門は数十名もの研究者を擁しています。
研究者たちはクリーンルームや製造施設のある同じ敷地内で働いているため、試作を迅速に行えるほか、研究、試験、開発を継続的に実施できます。継続的な開発によって、当社はセンサの堅牢性をさらに高め、さまざまな条件や環境に耐えられるものにしています。
センサを支える数十年に及ぶ開発
火星探査ローバー「パーサヴィアランス」に搭載されている湿度センサは、1973年にすでに導入されていたヴァイサラの HUMICAP® 技術に基づいています。HUMICAP®は世界初の高分子薄膜静電容量式湿度センサです。以来、ヴァイサラは相対湿度計測の市場をリードするメーカーへと成長を遂げ、高分子薄膜静電容量式湿度センサは業界のグローバルスタンダードとなりました。ヴァイサラの湿度センサは、気象観測において(ラジオゾンデなど)、また要求の厳しいさまざまな産業用途において幅広く使用されています。
探査ローバーに搭載されている圧力センサもヴァイサラ独自の技術であり、1985 年に最初に導入された BAROCAP® 技術に基づいています。BAROCAP®は、シリコンベースのマイクロメカニカル圧力センサで、気象観測から産業計測まで幅広い用途で信頼性の高い性能を提供しています。
どちらのセンサも長年にわたって継続的に開発が行われており、今後も開発が進められます。極度の温度、ほこり、化学物質への耐性など、過酷な条件向けに特に開発されています。
最高レベルの計測性能を実現するには、研究開発において長期にわたる取り組みや投資が必要です。宇宙探査と同様に、根気、好奇心、忍耐が必要な分野と言えます。
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