フィンランド赤十字ロジスティクスセンターにおける|医療資材のモニタリング

赤十字医療資機材倉庫の温度モニタリングシステム
Miia Lahti
Miia Lahti
Communication Manager
Finland
Published:
ライフサイエンス

写真:フィンランド赤十字社提供

ヘルシンキの北 200 キロメートル、フィンランドの岩盤に掘られた倉庫は、人々の善意と寛大さで詰まっています。ここ、タンペレにあるフィンランド赤十字ロジスティクスセンターには、テントや毛布、浄水器、衛生用品など、緊急事態の必需品があふれています。同センターには、大惨事の現場に届けられる救命用医薬品も保管されています。ヴァイサラの viewLinc システムは、このかけがえのない資産の常時モニタリングに役立っています。

ロジスティクスセンターは、フィンランド赤十字(FRC)による災害救助の実施や、開発協力活動への対応の準備において中心的役割を果たしています。センター内での供給品の保全は、フィンランド国内における緊急時の備えにとって不可欠となりつつあります。「このロジスティクスセンターでは、フィンランド赤十字が国内外を問わず諸地域に届けるあらゆる救援物資の物流の調整、保管、梱包、管理を行っています。届け先はバハマからバングラデシュと広域にわたるため、援助のニーズも多岐にわたります」と、フィンランド赤十字の医療担当、緊急対応ユニット(ERU)プランナーのJari Koiranen氏は言います。おおよそどのような災害でも、緊急医療支援は、対応の効果を決定づける重要な要素です。

「災害救援物資が被災地に届けられる際、時間が鍵となります。そのため緊急支援に備えて、物資の在庫を整えておく必要があります。当センターの活動では、多くの場合、医薬品やワクチンが重要な役割を果たします。しかしそれらは、保管するのに最も規制の厳しい品目でもあります。医薬品には保管状態の監査が必要です。当センターでは、フィンランド医薬品局(FIMEA)による定期的な監査が行われています」とKoiranen氏は説明します。FRCの活動が迅速かつ効率的で、GxP準拠となるよう支援するため、ヴァイサラは無線によるviewLinc環境モニタリングシステムを寄贈し、医薬品の保管状態の24時間保護を実現しています。

岩盤の内部

FRC ロジスティクスセンターの所在地には、長く険しい歴史があります。「この場所は元々、第2次世界大戦前に建てられた弾薬工場でした。弾薬製造はリスクの高い事業でした。ですから当センターは、実にフィンランドの岩盤内数メートルを掘り出した巨大な洞窟の中にあるのです」とKoiranen氏は話します。「各階の広さは1,500平方フィート、高さは3階建てか4階建てのアパートと同じくらいです」。岩盤内という普通ではない場所であっても、周囲条件は、装置や機器、医薬品を保管するのに適していなければなりません。厚いコンクリートの壁や硬い岩盤に囲まれていることも、モニタリングシステムにとって明確な要件があることを意味します。

「新しいviewLincモニタリングシステムは、データを手動で集めていた古いやり方に比べ、当センターにとって素晴らしいツールです。アラームとレポートのおかげで働き方が効率化され、職員は他の業務に集中することができます。」 Jari Koiranen氏(フィンランド赤十字、医療担当、ERU プランナー)

支援物資と医薬品のほとんどが室温で保管される一方、ワクチンや薬品の中には冷蔵保存されるものもあります。ヴァイサラ のviewLincシステムは、4つの医療用冷蔵庫の温度と3つの保管庫の湿度と温度を監視するために導入されました。「当センターでは、有効なシステムで保管環境状態をモニタリングする必要があります。薬品の中には 2~8°C という低温状態で保管する必要があるものもあります。しかし、医薬品が室温で保管されていても、当センターでは、室温での保管状態の証拠を FIMEA に提出しなければなりません。薬品を完全な状態で維持するためには、室内の周囲条件も一定の範囲内である必要があります」と Koiranen 氏は言います。

リモートアラーム通知と自動レポート作成機能を備えた環境モニタリング

GxP規制の対象かつGxP認証を受けた拠点として、FRCロジスティクスセンターは、viewLincシステムの設置以前に、すでにモニタリングシステムを導入していました。職員がそれまで使用していた手動の古いデータロガーに代わり、新しくviewLincシステムが取り入れられたのです。この新たに設置されたシステムは、ヴァイサラ RFL100 VaiNet ワイヤレスデータロガーAP10 VaiNet ワイヤレスアクセスポイント、ヴァイサラ viewLinc 5.1 ソフトウェア、そして据付時適格性評価および運転時適格性評価のための検証 IQ/OQ プロトコルから構成されています。この新しいモニタリングシステムにより、多くの利点がもたらされました。難しい立地の建造物内における長距離ワイヤレスデータロガー通信、正確で信頼性の高い湿度と温度の計測、リモート SMS アラーム通知、自動レポート作成などです。

「旧システムでは、月に1~2回、ロガーから手動でダウンロードしたデータを使ってレポートを作成しなければなりませんでした。すべて人手を要するもので、大変な作業でした。誰かが毎回、ひとつひとつのロガーまで行き、データをダウンロードし、レポートを作成しなければならなかったのです。それに加え、当センターにはリモート通知がなく、すべてが正常に稼働しているという自信もなかったのです」と Koiranen 氏は話します。ヴァイサラのデータロガーが設置され、viewLinc ソフトウェアが FRC のサーバーで有効となるや、即座に観測が開始されました。

「冷蔵庫には、温度計測が表示されているものもありました」と Koiranen 氏は言います。ロガーが冷蔵庫内に設置されると、工場出荷時に設置された冷蔵庫の温度計と、ロガーの計測値を比較して見ることができました。表示されたどちらの温度も依然として保管温度の範囲内でした。これは医薬品を良好な状態で維持するために重要なことですが、ヴァイサラがもたらす正確で迅速な計測について評価するとき、このことをよく思い出します」「新しい viewLinc モニタリングシステムは、データを手動で集めていた古いやり方に比べ、当センターにとって素晴らしいツールです。アラームとレポートのおかげで働き方が効率化され、職員は他の業務に集中することができます。私たちは多くの仕事を抱えています。世界には苦悩が多いのです」と Koiranen 氏は締めくくりました。

viewLinc モニタリングシステムと VaiNet 無線技術

ヴァイサラのワイヤレスモニタリングシステムは、医薬品倉庫や実験室、冷蔵庫、冷凍庫、クリーンルームなど、規制対象の環境にある重要な資産の保管状態に関して、正確で信頼できるデータを提供します。このシステムでは、欠損のないデータ、信頼できるリモートアラーム通知、そしてGxPの規制と指導の順守に役立つレポート作成が可能になります。

viewLinc システムは、viewLinc ソフトウェアと、イーサネットや Wi-Fi、ヴァイサラ独自のワイヤレスプロトコルである VaiNet で接続可能なデータロガーに加えて、オプションの IQOQ、その他の GxP および GAMP 文書から構成されています。ヴァイサラ独自の革新的な VaiNet 無線技術により、コンクリートの壁、金属の棚、その他よくある障害物があっても、データロガーとアクセスポイント間に100メートル以上の標準的な屋内信号範囲を提供します。障害物のない環境では、無線信号範囲は数倍長くなります。

無線データロガーとアクセスポイントの接続は容易で、エネルギー効率が極めて高く、温度と湿度の正確な計測値を提供します。viewLinc ソフトウェアでは、計測データがデータロガーから収集され、保存されます。モニタリング対象のパラメータが許容値から逸脱すると、自動アラームが送信され、自動的にレポートが生成されて、担当者に送信されます。

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