カテゴリー5のハリケーンのさなかでも環境モニタリングによりTeva社の医薬品事業を保護

医薬品設備の常時監視
Published:
ライフサイエンス

「viewLincの導入後、システムに満足していましたが、実際に本領を発揮したのはハリケーンの最中でした ...」
- Teva社フロリダ事業所のサイトオートメーションエンジニアであるLuis Johnson氏(右)とメンテナンスエンジニアのJose Moure氏(左)。

Teva社は世界最大のジェネリック製薬会社です。幅広い製品群の中でも、同社はがん領域を中心とした生物学的製剤およびバイオ後続品を開発しています。Teva社は全世界に80か所を超える製造および流通設備を展開し、その年間生産量は地球上のすべての人に平均10回以上の投与量を提供するのと同じ量です。

米国に拠点を置く Teva社の設備で環境モニタリングシステム(CMS)をアップグレードする際、3社のシステムベンダーが比較されました。既存のモニタリングシステムにはコストがかかり、多くのマンパワーが必要となっていました。

サイトオートメーションエンジニアのLuis Johnson氏は、設備には完全にデジタル化されたモニタリングシステムが必要であると考えていました。Johnson氏は、Teva社のQAチームとQCチームをサポートし、製造装置と環境が GxP(適正規範)に適合し、cGMP(現行適正製造基準)の要件をすべて遵守することが業務の一つでした。

「クリーンルーム、倉庫作業、安定性試験槽、冷蔵庫、インキュベータ、有効性が高い製品の貯蔵管理など、当社の設備にはさまざまな用途があります。装置の性能をできる限り効率的かつ正確に監視し文書化できるようにするには、当社技術のアップグレードが必要であると認識していました」とJohnson氏は語ります。

viewLincを選択した理由

3社すべてのシステムを評価した後、Teva社はヴァイサラの viewLincモニタリングシステムを選択しました。Johnson氏は、データの完全性、ブラウザーベースの監視、迅速で簡単なレポート作成という3つの重要な理由があったと振り返ります。規制要件の観点から最も重要なのはデータの継続性です。「ヴァイサラのデータロガーではスタンドアローンモードでデータが記録され、電力やネットワークの接続に依存しません」とJohnson氏は述べます。「外部電源が不要で、30日を超えて継続的にデータを提供するデータロガーの能力は、このような環境において非常に重要です。

他のベンダーは停電の際のデータ記録方法として異なる方法を採用しており、局地的な無停電電源装置を提案していました」とJohnson氏は言います。「そのような方法ですと、センサに加えて数百ものデバイスが必要になります…。このようなデバイスには通常、大型のバッテリが使用され、デバイス自体のメンテナンスも必要です。ヴァイサラのデータロガーには各デバイスにバッテリが内蔵され、8年から10年は外部電源なしでモニタリングできます」。

強力なハリケーンイルマの最中で本領を発揮

2017年9月、記録上最も強力な大西洋ハリケーンであるハリケーンイルマがフロリダ州南西部を襲いました。フロリダ州の600万人を超える住人が避難命令を受け、米国史上最大規模の避難となりました。推定被害総額は640億米ドルで、イルマは記録上5番目に被害額の大きいハリケーンとなりました。Teva社の設備には建物の自動化システムが継続的に機能するようにバックアップ用発電機が装備されていましたが、ハリケーンの間、温度と湿度が劇的に上昇していました。

「viewLincの導入後、システムに満足していましたが、実際に本領を発揮したのはハリケーンの最中でした」と Johnson氏は振り返ります。「業務に戻り次第、私たちは停電中の状態の分析を始めました。停電中の記録に抜けがないことを確認し、驚きました。当社の品質チームは、ハリケーンの最中にも製品が必要な仕様の範囲内に維持されているか判断するのに必要なすべてのデータを得ることができました。データがなければハリケーンにより製品を不必要に破棄していたかもしれません。結果として、当社の製品は滞りなく患者様に届けられ、かなりの費用を節減することができました」。

非常に使いやすい、驚くべきレポート機能

viewLincの優れた2つ目の機能は、ウェブベースのユーザーインターフェースでした。モニタリングシステムにはワークステーションごとに実行可能パッケージをインストールする必要があるものもあります。viewLincシステムの場合、viewLinc管理者からアクセス許可を与えられた従業員がオンラインで安全にシステムにアクセスできます。企業イントラネットにアクセスできさえすれば、従業員はダッシュボードやトレンドの確認、アラームの管理、レポートの作成を行えます。Johnson氏は、他のモニタリングシステムのベンダーはウェブベースの監視を提供してはいるものの、viewLincにはない制限があると述べます。

viewLincの3つ目のメリットは、台数無制限のデバイスから送られる大量のデータを管理できるソフトウェアの能力でした。「当社は常に数百のプローブでサンプリングを行っています」とJohnson氏は言います。「ところが、viewLincはこのような情報を圧縮し、サーバーの非常に小さいスペースしか使用しません。たとえば、6か月分のクエリーを1分ごとに実行し、数分で完全なレポートが得られます。これは数百ページにも及ぶデータです。驚くべきことです」とJohnson氏は語ります。

「viewLincの開発者がシステムデータベースを設計する際に行ったことはすべて適切でした」。

viewLincソフトウェアのクエリー効率は、軽量で管理やメンテナンスが不要な組み込みデータベースにより実現されます。viewLincがTeva社にとって最適な選択肢であった機能的理由は他にもありました。従業員はワークステーションに対して使用するのと同じログイン資格情報をviewLincにも使用できます。グラフィックス(略図またはエリア写真)を表示し、エリアを素早く視覚化するために画像の上にセンサ位置を重ね合わせることや、viewLincの監査証跡により、ログインからログアウトまでのシステムのすべての操作を表示することもできます。

さらに viewLincが便利な点は、ユーザーがイベントに説明や是正措置といった注釈をつけることができることです。逸脱に関して疑問が生じた場合には、それがどのように発生したか、またどのように処理されたかについて詳細を記録する方法が、ソフトウェアにより提供されます。この機能により、温度の逸脱などのイベントに関する監査人の質問に先立って、すべての活動を追跡、記録することができます。


シンプルかつサポート済み

Johnson氏は自動化産業に従事していない人は環境モニタリングシステムを 産業制御システムであるSCADAやビル管理システム(BMS)と混同する傾向があると言います。SCADAやBMSのシステムでは、モニタリングシステムで実現できることも、それ以上のことも行えますが、コストが高い面があります。viewLincのようなシステムを使用すると、機能は監視、アラームの生成、レポートの作成に制限されますが、コストとバリデーション業務が劇的に削減されます。

「viewLincシステムは当社が必要としていたものに完璧に対応していました」と Johnson氏は述べます。「SCADAよりずっとシンプルです。当社はコンプライアンスをサポートし、停電やネットワーク障害が発生した際にも停止しない信頼性が高いモニタリング機能のみを必要としていました」。

Teva社にとって、最初の使用開始とトレーニングの後も製品を長期にわたってサポートするベンダーとの協力が重要でした。フロリダ事業所のチームは、すべてのシステムユーザーがviewLincを最大限に活用できるように、ヴァイサラのテクニカルサポートと協力しています。ソフトウェアは非常にユーザーフレンドリーですが、それでもすべての機能に精通するには時間がかかります。

「当社は最近、新しいロガーを追加したときや、スタッフが作動中のバリデーション済みシステムに接続することなくソフトウェアについて学びたいときに、セットアップ、レポートの作成、アラームしきい値の作成、イベントへの注釈、その他の一般的なタスクのトレーニングを実施できる環境を得られるようにviewLincテスト環境を導入しました」。

Teva社には社内校正部門がありますが、センサの性能を維持sするための費用対効果の高い方法として、ヴァイサラの校正サービスを利用することにしました。ヴァイサラの包括的な校正パッケージ、優れたユーザーエクスペリエンス、重大な停電に耐えうるデータのモニタリングなどによって、viewLincモニタリングシステムは、今後も成長を続けるであろう投資対効果を提供したのです。