ヴァイサラOptimus™ OPT100 DGA監視装置、Fingridの変圧器内で発生した異常ガスについてリアルタイムの情報を生成
変圧器はすべての送電と配電の基盤となるものです。そのため、変圧器の状態と運用状況を確認することは重要です。変圧器に不具合が生じると、(不具合の種類にもよりますが)不具合のある箇所で温度が急激に上昇し、結果として変圧器内で異常ガスが発生し始めます。フィンランドの送電システム運用業者であるFingrid Oyjは、変圧器内で発生する異常ガスのレベルを監視するために、新しいヴァイサラOptimus™ OPT100 DGA監視装置を購入しました。
こちらから導入事例をダウンロードできます。また、詳細についてはお問い合わせください。
送電システム運用業者としてのFingrid Oyjの使命は、フィンランドにおいて障害を発生させずに電力を利用できる状態を確保することです。Fingridは、主要な送電網(電力システムの「高速道路」と呼ばれる高電圧ネットワーク)を介して発電施設から産業関連の顧客や電力会社に送電することによって、確実なエネルギー供給を行っています。
ヴァイサラOptimus™ OPT100 DGA監視装置の溶解ガス分析器は、変圧器で発生するガスの計測を目的として開発されています。この分析器では、主な異常ガスとその量を計測できます。異常ガス分析器でこうしたガスを計測することには、大きな利点があります。変圧器の不具合箇所の温度とその箇所に接触する素材が、発生するガスの種類と量に影響します。通常、これらのガスから変圧器の不具合の種類とその重大度を推測して、不具合の修正に着手することになります。
変圧器に関する現地作業の減少
2020年、フィンランドの送電システム運用業者であるFingridは、変圧器用の新しい異常ガス分析器を導入しました。「当社では、これまで使用していたいくつかの異常ガス分析器の耐用年数が終了したため、代わりとなる分析器を調達するために入札を実施しました。その結果、当社はヴァイサラOptimus OPT100 DGA監視装置のガス分析器を選択しました。このガス分析器が当社の技術要件を満たしていただけでなく、既に使用している製品が優れていることも、今回の選択の理由となりました」とFingrid Oyjの専門担当者であるJuha Mertanen氏は語っています。
Fingridの長期にわたるパートナーであるOmexomは、発電、送電、配電に関する建設サービス、設置サービス、メンテナンスサービスを提供しています。ヴァイサラ、Omexom、Fingridの連携は、各社がそれぞれの専門知識をプロジェクトに活かすことができる効果的な運用体制として、実績を上げています。Omexomは2020年10月に溶解ガス分析器を購入し、変圧器への設置を行っています。
Omexomのプロジェクトマネージャー、
Otso Takala氏によると、Omexomはプロジェクトのさまざまな段階でヴァイサラのエキスパートから適切な支援を受けているとのことです。
「ヴァイサラのエキスパートは必要な製品情報を迅速に提供してくれます。当社のチームは、溶解ガス分析器の設置に関するオンライントレーニングに参加し、ヴァイサラのチームと話し合いながら設置を行うことができました。おかげでプロセス全体をスムーズに進められました」とTakala氏は説明します。
OPT100 溶解ガス分析器は、Fingridの変圧器の状態監視において重要な役割を果たしています。この溶解ガス分析器により、変圧器内で発生する異常ガスの濃度について、最新の情報が継続的に得られます。そのため、変圧器内の変化を非常に早い段階からリアルタイムで検出できます。
「異常ガスそのものが変圧器の運用状況を混乱させることはありません。しかし、そうしたガスは何らかの変化の兆候を示しています。ガスの量が増加している場合、変圧器を使用に危険が及ばないことを確認する必要があります」とMertanen氏は説明します。
変圧器ごとの違い
Mertanen氏は、変圧器にはそれぞれ違いがあり、ガスの発生の仕方は各変圧器でわずかに異なると言います。したがって、変圧器内の変化の重要度を評価するにあたって、共通した絶対的なカットオフ値は存在しません。
「重要なのは、さまざまな状況での変圧器の挙動を知り、変化を特定することです。異常ガス分析器を使用すれば、転換点を捉え、それを基に変化の原因を評価することができます。たとえば、通常の運用負荷状況に関連した外部イベントによって、変圧器の運用状況が変化することもあるのです。」
以前に行っていた状態監視では、1年に数回、変圧器からオイルサンプルを採取し、サンプルから発生する異常ガスを分析していました。新しいOPT100 溶解ガス分析器では、変圧器に関する正確なデータが定期的に得られます。
「データを毎日取得する方法のほうが、採取したオイルサンプルを分析するという低頻度の方法よりはるかに望ましいということは、言うまでもありません。どちらの方法も必要ですが、問題を迅速に検出できるのはガス分析器です。変圧器に関する現地作業の回数が大幅に減少するため、コストの削減にもつながります」とMertanen氏は述べています。
2020年秋にヴァイサラが発売した最新のOptimus™ OPT100 DGA溶解ガス分析器では、変圧器の絶縁油中に溶解したガスのトータルガス圧も計測できます。この情報に基づいて空気漏れを早期に検出し、不具合を迅速に修正することで、コストを大幅に削減できます。