ウェブセミナーのQ&A:ショ糖/スクロース密度勾配を使用した、|迅速かつ効率的なウイルス性|ワクチンの精製

ショ糖/スクロース密度勾配を使用した、迅速かつ効率的なウイルス性ワクチンの精製
Mona Kokkonen
Marketing Communications Manager
Published:
液体計測
産業計測
ライフサイエンス

このブログでは、「ショ糖/スクロース密度勾配を使用した、迅速かつ効率的なウイルス性ワクチンの精製」に関するウェブセミナー(英語のみ)の中でいただいた質問に回答します。 

小型のフローセルにより遠心分離機の出口ホースに屈折率計のプロセス接続ができるとのことでしたが、フローセルにより計測できる最低量または最低流量について教えてください。また、これは医薬品製造の要件を満たしていますか。

ファーマミニフローセル(PMFC)は、4.8mm(内径)、8mm(外径)の医療用ホースなどにより、遠心分離機の排出ラインに直接接続されます。屈折率計のプリズム上の流速は常時1.5m/sであることが推奨されていますが、PMFCはこの推奨流速を満たすように設計されました。最低試料量は1.2mlです。

PMFCは当社の製薬用屈折率計モデルなどと同様、医薬品製造の要件を満たしています。ファーマミニフローセルの接液部品はステンレス製(AISI 316)です。接液部品の内面粗度は0.4μmに電解研磨されています。OリングシールにはEPDM素材(エチレンプロピレンジエンモノマー)を使用し、接続用フィッティングはすべて、3-A サニタリー規格に準拠しています。

 

屈折率計の応答時間について教えてください。また、応答時間は遠心分離機からの排出用ホースの長さによって差異が生じますか。

ヴァイサラ K-PATENTS 製薬用屈折率計の応答速度は非減衰の場合1秒です。ただし、減衰時間は最大5分まで変更できます。ホースの長さについては、お客様からたびたび質問を受けます。このアプリケーションにおいては、ウイルスを大量に含む画分を可能な限り素早く識別し、生産性を最大限に向上するうえで、計測と制御が非常に重要であるためです。当社の製薬用屈折率計については、ホースの長さによって差異が生じることはありません。当社のソフトウェアにより、計測は必要な数値まで遅延ができるためです。

計測機器の検証方法についてさらに詳しく説明していただけますか。現場でも検証できますか。

屈折率計は校正後、出荷されます。時間経過によるドリフトは発生しないため、再校正は不要です。しかし、GMPガイドラインでは会社の手順と品質システムにより定目られた定期的な検証の実施が求められています。

そこでヴァイサラのサンプルホルダーと、屈折率の全範囲をカバーするか―ギル社の種類の標準屈折液を使用することにより、屈折率計を現場で簡単に検証することができます。これらの屈折液は校正中に使用されるものと同じです。したがって、校正を検証でき、N.I.S.Tにトレーサブルです。

屈折率計の検証手順はシステムに統合されているため、ユーザーは屈折率計のディスプレイに表示された検証手順のガイドに従うだけです。検証レポートを印刷して、署名することもできます。

 

弊社は塩化セシウム(CsCl)密度勾配によりウイルス精製を行っています。ヴァイサラ K-PATENTS 屈折率計はこの種の精製に適していますか。

ヴァイサラ K-PATENTS 製薬用屈折率計は、検出できるだけの十分な密度差(通常、+/- 0.1% bw)がある場合、精製に使用する溶液の種類に関わらず、密度勾配の計測に対応できます。主目的は濃度の変化を計測して異なる勾配を検出し、対象の粒子(この場合はウイルスを含む粒子)を分離することです。 

考慮すべき事項の1つとして、使用する溶液の濃度範囲、つまり精製に必要な屈折率の範囲が挙げられます。基準として、屈折率計の屈折率(nD)の範囲は1.3200~1.5300で、これは0~100Brixに相当します。塩化セシウム水溶液の屈折率は、ショ糖/スクロース溶液と比較してわずかに低い傾向があります。しかし、これは計測の制約にはなりません。さらに、計測範囲を拡大するために、特別なプリズム素材を利用することができます。

 

一般的に、重量パーセントではなく、Brixを計測することが有効であるのはどのような場合ですか。何種類の計測単位を選択できますか。

通常、ウイルス精製の勾配媒体として糖溶液が使用される場合に、Brixが使用されます。Brixは水溶液中の糖の含有量を計測する方法としてよく知られており、以前から屈折率計で計測されています。しかし、お客様の選択に応じて設定することができます。ヴァイサラ屈折率計を使った屈折率の計測は設定が簡単で、Brix、重量比 %、体積、密度またはお客様の希望に応じてその他の単位を表示することができます。

Brixおよび濃度の計測における粘度の影響としてどのようなものが挙げられますか。

粘度は密度と同様、溶液の濃度に応じて異なります。異なる濃度の溶液(ショ糖/スクロース溶液など)を使用して密度勾配を作成した場合、通常、密度だけでなく、粘度も異なる勾配が得られます。しかし、溶液によっては、異なる濃度で密度がほぼ同じでも、粘度が非常に異なる場合もあります。この場合、効率的にウイルス粒子を分離するために粘度勾配を使用することを検討します。

注意すべきなのは、勾配は異なる濃度の溶液によって作成されることです。このため、粘度勾配の使用を選択しても、ヴァイサラ K-PATENTS 製薬用屈折率計の制約にはなりません。ウイルス精製アプリケーションでは屈折率を計測するのに対し、ウイルス粒子の分別と分離では粘度の計測を考慮できます。屈折率計測によって混合物中の総溶解固形分の変化を把握することで、遠心分離機の排出中の勾配を確実にモニタリングし、ウイルスを大量に含む画分を安全に分離することに役立ちます。 ヴァイサラ K-PATENTS 製薬用屈折率計は、粘度が非常に高い溶液にも使用できます。

データの最大記録時間について教えてください。

ヴァイサラのマルチチャンネルユーザーインターフェースとコンパクトユーザーインターフェースにより、最大1週間のデータロギングが可能です。屈折率、温度、濃度のほか診断に必要な複数のパラメータの計測が1秒毎に記録されます。ヴァイサラ K-PATENTS 屈折率計をスタンドアロンで使用し、お客様のプロセス制御システムに直接接続する場合、最大データ記録時間はシステム容量に応じて異なります。屈折率計は1秒毎に計測するため、データロギングの間隔はシステムで1秒以上から調整できます。

各段階の典型的なBrix範囲について教えてください。遠心分離機には通常、3段階のBrix濃度が設定されていると説明されました。また、ヴァイサラ PR-43-PC 製薬用屈折率計の精度についても教えてください。

インフルエンザワクチンの生産における一般的なBrix濃度(ショ糖/スクロース勾配)は0から60Brixです。しかし、この範囲は各ウイルスと精製プロトコルによって異なる場合があります。ヴァイサラの屈折率計は同一の精度(+/- 0.1 Brix)で、0~100Brixの全範囲を計測可能です。また、用途に応じて高精度(HAC)バージョンを使用することで、0.05~0.02Brixの精度が得られます。

試験所とプロセスで使用するセンサに違いがありますか。

医薬品の開発および製造において、すべての段階で同一の屈折率計単位を使用することができます。異なるのはプロセス接続のみです。コンパクトな設計の屈折率計により、実験室用キュベット(LTC)を使用する試験所やファーマミニフローセル(PMFC)を使用する試験運用、2.5インチ以下のパイプに適したその他のサニタリープロセスの接続で、簡単に使用することができます。

屈折率計はインフルエンザ以外のその他のウイルスの計測ツールとして適切でしょうか。

はい。屈折率計は精製するウイルスに関係なく使用することができますが、精製に使用する勾配溶液により制約があります。インフルエンザワクチンの製造以外にも、狂犬病ワクチンや肝炎ワクチンなどの製造にも使用できます。ウイルスを大量に含む生成物画分が検出および回収される濃度範囲は、ウイルスに応じて規定される傾向があります。

医薬品製造におけるプロセス屈折率計のアプリケーションについてはこちらをご覧ください。(英語のみ)

 

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