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結露しやすい環境での湿度計測

セラミックタイル製造
Joni Partanen
Joni Partanen
Product Engineer
Published: Jan 21, 2019
産業計測

相対湿度が高い(90%を超える)環境で計測する場合、環境が飽和状態に非常に近いため、常に課題がつきまといます。例えば60°C、95%RHのプロセス環境を考えてみましょう。この場合の露点温度は59°Cであり、これは59°C以下の温度の表面で水蒸気が結露することを意味します。このことが計測に引き起こす技術的な問題について、以下で説明します。

  • 圧力スパイクや温度変化によりプロセス状態が急速に変化することで、加熱されていないプローブに水分が結露し、その後数分間プローブが濡れた状態になる場合があります。これにより、最も必要なとき、つまり状態が変化しているときに、有効な計測データが得られない状況が発生します。
  • プローブヘッドの半分がプロセス環境にあり、残りの半分が外側にある設置では、外側の温度状態がプロセス環境よりも低い場合、プローブ側のプローブも温度が低下、結露が発生し、計測が阻害される場合があります。

こういったような問題は、多くの高湿度環境で発生します。たとえば、屋外計測では、霧、靄、雨、結露により正しい計測が妨げられる恐れがあります。環境が飽和状態にある場合や飽和状態に近い場合でも、有効な計測データを取得し、センサ稼働時間を最大化することは課題です。

ヴァイサラは、これらの問題に対処するために、加温プローブおよびセンサ加熱技術を開発しています。


加温プローブ技術

加温プローブ技術により、加熱されていない湿度センサでは結露して計測ができないような相対湿度(RH)100%の環境においても、信頼性の高い正確な湿度計測が可能になりました。加温プローブ技術は、高湿環境用に特別に設計されているスマートプローブHMP7や壁取り付けタイプの変換器HMT337などのヴァイサラ製品に採用されています。これらの製品は、温度センサを結合したコンポジット湿度センサを備えることで、センサの相対湿度と温度が常に把握できます。コンポジットセンサを含む湿度プローブには、ヒーターが搭載されています。これにより、センサだけでなくフィルタを含むプローブ全体の温度も周囲温度より数度高い温度に保たれ、計測環境が露点温度(100% RH)であっても、センサに水分が結露しない状態を担保できます。コンポジットセンサの露点温度は、計測された相対湿度と温度の値を使用して算出でき、出力パラメータとして直接使用できます。

相対湿度やその他の湿度パラメータ出力が望ましい場合、HMT337 温度湿度変換器には、湿度プローブと同じ計測環境に設置された別個の温度プローブを装備する必要があります。というのも、相対湿度は温度に依存するパラメータであり、プローブの加熱により相対湿度の計測が妨げられてしまうためです。相対湿度は、露点値と追加した温度プローブから得られる温度値を使用して確実に算出できます。

センサ加熱技術

センサ加熱は、一部のヴァイサラ湿度計測機器で利用可能な加熱機能です。初期設定では、センサ加熱機能はセンサを約30秒間で100°Cまで急速に加熱し、ユーザーは加熱温度と加熱時間の両方を定義できます。加温プローブとは異なり、加熱は湿度センサに結合された温度センサを直接加温することによって行われます。これはプローブ全体を加熱するよりもはるかに高速ですが、センサが加熱されてから動作温度まで温度が低下するまでの間(通常約1分〜2分)、計測がオフラインになります。その間、直近の有効な計測値が保持され、変換器の出力と表示に使用されます。ユーザーは、指定した湿度レベルで自動的に作動するようにセンサ加熱機能を設定できます。

センサ加熱機能と加温プローブを組み合わせることで、結露を最大限に防ぐことができます。センサ加熱は、センサの結露の原因となる急激な温度上昇に対する防御装置と見なすことができます。また、結露からの回復も早めます

ケミカルパージ技術

加温プローブ技術とセンサ加熱技術のほかにも、3番目の加熱手法が一部のヴァイサラ湿度計測機器で利用可能です。その3番目の加熱方法であるケミカルパージは、起こりうる長期ドリフトの修正に役立ち、ガス状の化学的不純物が存在する環境で必要な校正間隔を延長するのに役立ちます。炭化水素系溶剤、洗浄剤、殺菌剤はいずれもセンサに浸透しやすい物質の例ですが、これらの物質はケミカルパージ機能で除去できます。ケミカルパージは、センサの温度素子をヒーターとして使用し、センサを160°C~180°Cまで急速に加熱することで、影響を及ぼす化学物質を蒸発させます。ケミカルパージのサイクルは、加熱と安定化の段階を含めて約6分間続きます。センサの温度がパージ前レベルで再び安定すると、センサは通常の計測モードを継続します。ケミカルパージ中では、変換器の出力値は固定されます。

加熱手法のまとめ

  加温プローブ センサ加熱 ケミカルパージ機能
環境 高湿度 高湿環境向け 計測環境内の化学物質が計測に影響する恐れがある用途向け
加熱部分 プローブ全体 センサ センサ
加熱の作動タイミング プローブを継続的に加熱 特定のRH値に達したとき 手動、自動(一定間隔)、または電源投入時
持続時間と加熱温度 継続的(プローブ全体が周囲温度より2~3ºC高くなる) 設定可能(0~200ºC、0~255 秒)。デフォルトでは、RH95%でPT100を30秒間で100ºC まで加熱。 湿度センサを約+160°Cまで数分間加熱
出力値 露点値は常に利用可能(RH値は温度プローブを追加することで常に利用可能) 加熱中、出力は固定(時間:1〜 2分) 機能中、出力値は約6分間固定

 

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