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センサが閾値を超えた場合|インキュベータのコールドスポットまたはホットスポット|21CFR Part 11(連邦規則第21条第11章)の遵守

常時モニタリング用viewLincサーバーソフトウェア
Paul Daniel
Paul Daniel
シニア レギュラトリ・コンプライアンス・エキスパート
Published: Jul 14, 2020
ライフサイエンス

ビデオインタビューの編集済み原稿は以下のとおりです。

このビデオインタビューでは、ヴァイサラのシニアレギュラトリーエキスパートが、お客様や業界の窓口ご担当者からの3つの質問にお答えします。追加でご質問がある場合は、このページにコメントを記載もしくはメールにてお問合せください。

 

[00:11:01] 環境モニタリングシステムおよびマッピングシステムに関するヴァイサラのビデオブログにようこそ。私はヴァイサラカナダのライフサイエンスマーケティングマネージャーを務めているJanice Bennett-Livingston と申します。今回もヴァイサラのシニアGxPレギュラトリーエキスパートであるPaul Danielに参加してもらっています。それではさっそく質問にお答えしましょう。本日も興味深い質問を3ついただいています。

[00:11:30] 1つ目の質問です。「定期モニタリング中に温度センサが閾値を逸脱した場合、どのような確認が必要ですか?」

Paul:このような状況はあり得ます。センサは閾値を超えることがあります。大抵は、ドアが閉じられていない、停電などの明らかな原因があると考えられますが、実際に起こりえることです。通常、適切な仕様またはポリシーには、たとえば冷蔵庫に対しては2~8°Cと、装置の仕様だけでなく、許容可能な逸脱の時間と温度の範囲も記載されています。これらのファクターが逸脱の重要な要素です。たとえば、温度監視プローブの温度が0から15°Cの間に留まっている限り、冷蔵庫は最大30分間、許容範囲を超えることができると規定している場合を想定します。この種の逸脱は24時間ごとに最大1回発生しても問題ありません。したがって、その冷蔵庫については温度が0から15°Cの場合、24時間ごとに1回、30分間は閾値を超えても問題がないということになります。

これはほんの一例ではありますが、つまり、条件が閾値を超えても逸脱ポリシーの範囲に留まっている場合、フォローアップとして講じなければならない品質対策は不要であることを意味します。もちろんモニタリングシステムのアラートによりそのような状態を認識した場合には、状況に応じて対応する必要があります。しかし、この場合は逸脱が許容範囲に留まっているため、品質対策を講じる必要はありません。

逸脱の範囲を超えた場合、つまり温度と時間の限度を超えた場合、何らかの品質に対しての対応をしなければなりません。つまり、この時点で、正式な対策を講じる必要があるのです。実施するべき具体的な措置は、モニタリング手順またはポリシーにより決まりますが、影響を受けたチャンバー内に保存されている製品の品質について、逸脱による影響を評価できるように、逸脱や仕様範囲外のレポートが必要な場合があります。

影響を受けたチャンバーの性能を定期的にレビューする必要もあります。何らかの理由により装置の異常な逸脱が確認された場合、原因を特定するために調査が必要です。一方で、予防保守が必要な場合もあります。門戸錠が不適切であったり、ユーザーのトレーニングが不十分なため、ドアが正しく閉められていなかったりすることもあります。冗談のように聞こえるかもしれませんが、実際に以前あったことです。

[00:13:48] 次の質問はインキュベータのモニタリングに関する質問です。
「インキュベータに2つのホットスポットまたはコールドスポットの位置を見つけた場合、どちらを考慮する必要がありますか?通常の定期モニタリング中は、どちらの位置も監視する必要がありますか?」

Paul:この質問は私が非常に不満を覚える質問の1つです。ここでの適切な答えは、インキュベータに必要なモニタリングプローブは1つのみということです。また、インキュベータはホットスポットやコールドスポットに取り付けてはなりません。ドアハンドルと同じ側の壁に取り付けてください。ドアの開閉が計測に大きく影響しないように、十分後方に離して配置してください。これは、ほぼすべてのモニタリングプローブが、冷蔵庫、冷凍庫、インキュベータ、および安定性試験槽への大半の取り付けの際に取り付ける位置です。

実際、これ以外をあまり目にしたことはありません。シンプルで再現性が高く、耐久性があり、これらのチャンバーをモニタリングし、致命的な状態かどうか判断するのに必要な情報が提供されるためです。ここでいう致命的な状態とは、たとえば、停電、ドアが閉じられていない、またはその他の重大な故障が挙げられます。

過去8年または10年の適正流通基準(GDP)の大幅な改訂までは、どのガイダンスにもホットスポットおよびコールドスポットの判断について言及されてもいませんでした。ガイダンスには、モニタリングのために、前述のような位置にセンサを配置することも記載されていませんでした。GDPの改訂が行われ、規制機関により担当者がトレーニングを受けていることを確認することが求められました。このような担当者は、マッピング方法やモニタリング方法について研修を受けてずに、倉庫や薬局で業務に従事していました。通常、バリデーションプロセスの経験がない初心者でした。

規制機関は研修を簡素化し、このような担当者をトレーニングする必要がありましたが、ホットスポットやコールドスポットの重要性を重視しすぎていました。残念ながら、規制機関はこれらのホットスポットとコールドスポットの位置を使用して、当社が勧める配置や選択肢を推奨することをやめてしまいました。規制機関は、モニタリングセンサはホットスポットやコールドスポットの位置に配置するべきであると記載してしまったのです。考えてみれば、これが合理的ではないことがおわかりになるでしょう。この理由をご説明します。たとえば、ほんの数立方フィートのインキュベータがあるとします。まさに中心にホットスポットが、コーナーにコールドスポットがあります。インキュベータには2つのプローブを入れる必要があります。1つは使用可能なスペースの中心に取り付けます。これはまさに、皆さんがシャーレを置こうとする場所です。このプローブは確実に動かないように所定の位置に固定する必要があります。プローブが損傷しないように、周囲に小さいケージが必要な場合もあります。この時点で、スペースの中心を使い切りました。

考えてみると、これは本末転倒であり、このように設置する人はいないでしょう。コールドスポットとホットスポットをモニタリングするために各チャンバーに2つのプローブを入れている設備を1つだけ見たことがあります。その設備では、このような同じ問題について不満を漏らしていました。当社がこうすべきだという考えがある理由は何でしょうか?これは従来の慣行に誤解があることから来ていると考えます。温度マッピングのサポートにコンピュータの使用が普及するまで、当社は計算機を使用し、印刷物で最高値を目視で確認して、統計を手作業で計算する必要がありました。大量のデータを使用してテストに合格するかどうかを算定する最も容易な方法は、最高温度と最低温度を把握することでした。最高温度と最低温度を把握することがすべてなのです。これらはホットスポットまたはコールドスポットと同じことです。

したがって、最高温度または最低温度が分析上、重要でした。試験に合格するかどうかを素早く判断することができるためです。ホットスポットとコールドポット自体が重要なのではありません。データを手作業で分析するうえで、これが最も簡単な方法でした。繰り返しになりますが、データが仕様の範囲内にあれば、許容基準内にあるため、ホットスポットとコールドスポットは重要ではありません。

チャンバーが適切な温度を維持できることを証明するためにこのマッピング、バリデーションを行いました。正しく実施すれば、その作業を信頼することができます。マッピング調査により予想できないイベント、つまり、ドアが閉じられていない、停電などの事象を把握するためにモニタリングが行われます。ホットスポットとコールドスポットのわずかな逸脱について確認するために行われるものではありません。これが、マッピングを行った理由です。長々と語りましたが、要するに、インキュベータのホットスポットとコールドスポットをモニタリングする必要はないと思います。倉庫について取り上げる場合はまったく別の問題になりますが、インキュベータについては必要ありません。

[00:18:28] ありがとうございます。不満を抱かせてしまうような質問がもう1つあります。これは私がよく受ける質問です。

viewLinc 環境モニタリングシステムは 21 CFR Part 11(連邦規則第21条第11章)を遵守していますか?」

Paul:viewLinc が 21 CFR Part 11、Annex 11(付属書 11)、PIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム)、または類似する規制をどのように遵守しているかといったこの種の質問をお客様から受けるたびに、お客様に説明する良い機会であるととらえています。このような質問に対する最も誠実な答えは、viewLinc は 21 CFR Part 11 やその他のいずれの規制も遵守していないということです。この答えは奇妙に思えるでしょうが、これについて説明します。

FDA(食品医薬品局)の 21 CFR Part 11、欧州医薬品庁の適正規範(GxP)規制などの規制は、医薬品、医療機器、化粧品、その他のGxP規制対象の製品の製造と販売に従事する企業に適用されます。さて、ヴァイサラはソフトウェアと計測機器を製造しています。そのため、これらの規制は当社には適用されず、この延長でviewLincなどの当社製品にも適用されません。GxP規制はviewLincシステムや当社のセンサを使用して医薬品、医療機器、その他の医薬製品を製造する当社のお客様に適用されます。

たとえれば、メルセデス・ベンツの車が米国の道路交通法を遵守しているかどうかを尋ねるのと同じことです。米国には自動車メーカーに対する国家安全基準がいくつかあります。たとえば、最小制動距離、シートベルト、エアバッグが挙げられます。しかし、道路交通法は自動車メーカーではなく、つまりメルセデスでもシボレーでもなく、車のドライバーに対して適用されます。道路交通法はさまざまな法律が組み合わせられた一連の法律です。メルセデスは法律により、車で機能するブレーキペダルを装備することが求められているかもしれません。ですが、道路交通法に従い、ブレーキペダルを使用して信号で車を実際に停止するかどうかはドライバー次第です。

viewLincシステムは医薬品製造規制を遵守しているかどうかをお客様が尋ねる場合、お客様はこのような違いを理解していないことがあります。私は、「もちろん、当社のシステムは 21 CFR Part 11 を遵守しています」とは言いたくはありません。厳密には正しくないですから。そのように答えるなら、21 CFR Part 11 の規制の対象者との違いを当社が実際に理解していないと言っているようなものです。

では、お客様が本当に聞きたいことは何でしょうか?お客様が聞きたいのは、「医薬品のモニタリングにviewLincを使用すると、当社の業務に適用される関連規制を遵守できますか?」ということだと思います。再度申し上げますが、これはお客様がシステムをどのように使用するかに依存します。車と同様で、ドライバーがブレーキ、アクセル、ハンドルを規制に従った方法で使用することにより、道路交通法を遵守しなければなりません。

このようなviewLincが規制を遵守しているかといった質問には、「viewLincはお客様による規制の遵守をサポートするように設計されています」と答えるのが最も適切です。

FDAの Part 11、欧州医薬品庁の規制、またはPIC/Sのいずれの部分を読んでも、これらの規制の90%には、担当者が手順に関するトレーニングを確実に受けることを目的とした適切な手順の文書化や、適切なトレーニングの記録について規定されています。規制機関の意図は、手順に従っていることについて文書化された証拠を確認することです。手順がすべてなのです。

規制の一部には、監査証跡などの具体的な事項を規定するものもあります。しかし明確に、規制の遵守の90%を超える部分は、システムがどのように使用され、適切なSOP(標準操作手順書)が整備されているか、これらのSOPが遵守されているかどうかに関する規定です。したがって、お客様への最適な答えは、viewLincはGxP規制を遵守するように設計されていますということです。私はシステムが 21 CFR Part 11 を遵守しているとは言いませんが、viewLincはお客様がシステムを使用して規制を遵守できるように設計されていることを皆さんに繰り返しお伝えしたいと思います。

[00:22:40] お客様による 21 CFR Part 11 および Annex 11の遵守に役立つviewLincソフトウェアの機能に関するホワイトペーパーをご用意しています。また、vLogマッピングシステムについても類似の資料(英語)をご用意しています。ご覧いただきありがとうございます。またお会いしましょう。皆様、お元気で!!

 

Comment

Jason Cook

Jul 22, 2020
I'm interested in knowing more about the recommendation/guideline/regulation that dictates a site should have an acceptable tolerance of time and temp excursion?

Paul Daniel

Jul 28, 2020
Hi Jason:

Here's a quick answer. All countries (to my knowledge) require temperature specifications for drug products and will expect that your drug products will be maintained within those specifications. And all countries will consider your drug products to be "adulterated" if they are not stored at those defined specification, and they will expect that adulterated product will be disposed of and not sold. This creates a condition where it is in a manufacturer's best interest include in their storage specifications a definition of an acceptable excursion (in terms of time and temperature).

Then there's the curious thing about cGMP (current Good Manufacturing Practice) in that you need to stay "current", which in practice means your quality processes are compared to those of your peers, and you are expected to keep up. So if everybody else is doing it, you are expected to do it to (or have a good reason why you don't).

So, offhand, I don't know of a specific regulation that says you need to have a well-defined excursion policy. I just have never encountered a modern drug manufacturing facility with a temperature sensitive product that didn't have a well-defined excursion policy.

I hope this helps! Feel free to contact me directly if you have more questions.

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