壁取り付け用 HVACセンサ設置時のよくある落とし穴

壁取り付け用 HVAC センサ設置時のよくある落とし穴
Senior Product Manager
Lars Stormbom
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屋内/室内空気質
産業計測

この記事は、HVACセンサ設置時のよくある落とし穴について考察するブログ記事シリーズの第1弾で、不適切な設置により発生する物理的な計測エラーに注目します。この最初の記事では、壁取り付け用湿度、温度、CO2 センサの設置について特集します。



代表的な設置場所の重要性

壁取り付け用センサの設置に際して留意すべき最も重要な点は、センサの目的が、人が室内で体感している状態を計測することにあるという点です。空気が自由に流れ、熱源が近くにない代表的な場所を選ぶ必要があります。最もよく起こる誤りとしては、食器棚の裏側のような空気の流れが非常に制限された場所や、センサの温度を上昇させる恐れがある直射日光が当たる場所、またはラジエータのようななんらかの熱源の近くにセンサを設置することが挙げられます。一般的な壁取り付け用センサは、通常、天井に取り付けるようには設計されていないことも留意すべき点です。天井にセンサを取り付ける場合は、その目的に合うように設計された特別なセンサを購入する必要があります。 

A representative mounting location of a HVAC wall sensor.

図 1:壁取り付け用 HVACセンサの代表的な設置場所


最近、あるコンベンションセンターにおいて、梁に取り付けられた新しい制御システムが良好に機能していると考えていたところ、床の高さでCO2レベルを確認してみると、計測値が約2,000ppmに及んでいるという事例がありました。請負業者の説明では、取り付けに便利だったからセンサを梁に設置したそうです。センサ近くのCO2レベルは文句なく許容できる水準でしたが、その下方の床の高さや、梁から5、6メートル下、さらにすべての人が出入りする位置でのCO2レベルは非常に高いものでした。梁にセンサを設置することは実用的だったかもしれませんが、現実にはよい考えではありませんでした。

壁取り付け用センサの設置

壁取り付け用センサの設置において非常に典型的な誤りがあります。壁取り付け用センサは、一定の方向に設置するように設計されています。「こちら側が上向き」とあれば、それに従う必要があります。これは、壁取り付けユニット内の電子機器が熱を発するためです。正しい向きに壁取り付け用センサを設置すると、空気の流れによって、計測が妨げられることなく、余分な熱が除去されます。残念なことに、見栄えがよいという理由で、センサが横向きに設置されることがあります。これはよい考えではありません。これにより、計測温度が高すぎたり、湿度の計測値が低すぎたりする事態が生じます。 

Thermal imaging shows considerable heat generation in wall sensors, especially in CO2 sensors and some other gas sensors

図 2:サーマルイメージから、壁取り付け用センサ(特にCO2センサなどのガスセンサ)に多くの熱が発生していることがわかる。

図2からわかるように、サーマルカメラにより非常に簡単に熱を検知できます。この写真から、下側のセンサが正しい向きに設置されており、適切であることがわかります。ここでの問題は、上側にもう一つのセンサが設置されていますが、その筐体の底部の温度が下側のセンサによって上昇していることです。たとえば、二酸化炭素センサをお持ちの場合、その上に温度または湿度センサを設置することは避けるようにしてください。ここでも、温度の計測値が高すぎたり、湿度の計測値が低すぎたりする事態が生じます。

圧力差

もう1つの原因となりうるものが圧力差です。加圧下の部屋がある場合、低温度の空気やCO2の低い空気がセンサに向かって直接流れ、結果を歪める恐れがあります。この場合、ケーブルフィードスルーが加担していることが多いため、センサの背面、特にケーブルフィードスルーにシール(おそらくなんらかのパテか類似のもの)を使用しなければならない場合があります。

圧力はCO2計測値にも影響を与えます。二酸化炭素センサは、CO2 を集計することで機能するため、多くの場合、大気圧補正を備えています。ppmを正確に計測するには、センサが正しい周囲気圧を捉える必要があります。実際、センサにはアクティブ圧力センサが備わっているか、圧力を設定できるようになっています。屋外と屋内の両方でCO2センサを使用している場合、どのセンサにもアクティブ圧力計測機能を備えること、あるいは圧力を設定できる場合は、壁取り付け用センサと屋外センサのどちらにも同じ設定を行うことが重要になります。これに該当しない場合は、システムにオフセットを導入して、空気の流れを増減できるようにする必要があります。

生コンクリート

他の要因となりうるものが生コンクリートです。コンクリートがCO2を吸収するためです。コンクリート面がむき出しの室内では、CO2レベルが非常に低くなります。むき出しのコンクリート面に直接センサを設置すると、センサの筐体内のCO2濃度がきわめて低くなり、外気の濃度を表さなくなります。場合によっては、センサの背面にプレートを配置し、CO2の流れを遮断することで、状況を改善することができます。自動バックグラウンド制御(ABC)ロジックを採用したセンサを使用している場合、周囲に人がいなくCO2が約200ppmに下がる場所ではセンサが十分に機能しません。レベルが約400ppm(屋外のバックグラウンド濃度)に下がると想定して、センサの計測値のゼロ点をそれに照らして調整する方が時折いらっしゃいますが、この方法では信頼できる結果が得られません。

特殊な環境

標準的な壁取り付け用センサは、通常のオフィス環境でうまく機能するように設計されています。クリーンルームのような特殊な状況または環境では、通常、下向きの空気の流れがどうしても発生するため、電子機器から発生する熱がセンサに向かって下向きに移動し、計測値を歪めることから、標準的なセンサはあまり適切に機能しないかもしれません。空気が下向きに流れる用途では、お使いのセンサがそうした状況での使用に適合するように設計されていることを確認する必要があります。

壁の素材

壁取り付け用センサの計測値は、壁の素材(鋼鉄やコンクリートのような熱を伝える素材)によっても歪められる場合もあります。壁面にセンサを直接ボルト付けする場合、センサが室内の気温を正しく表示せず、壁そのもののおおよその温度を表示することがあります。オフィスに見られる一般的な壁の素材では障害は発生しませんが、金属やコンクリートが壁の素材になっている場合は、センサと壁の素材との間になんらかの断熱材を使用するのがよいでしょう。

物理的な計測エラーがHVACダクトセンサの設置に与える影響について書かれた 12 月の記事をご参照ください。

HVAC 製品の詳細についてはリンク先をご覧になるかこちらからお問い合わせください。
 

Comment

Asad Chaghtai

Dec 3, 2019
Good discussion.

Lars Bjorkstrom

Dec 5, 2019
Datacenters require humidity control, less than years ago due to new materials and better electronics. But aircooling still dominates the server cooling, and with heat loads over 5 kW/m² the air changes temperature between 20 and 30 C every few seconds. Controlling the humidity with traditional RH-sensors normally wast energy by humidifying in some AC-units and de-humidifying in others.
The ideal solution would be the control of absolute umidity. The umidity control (as well as the water piping, condensate drains etc.) could be eliminated from the AC-units and reduced to a separate, dedicated system that keeps the water content at, for instance, 20 g/kg air.
But where can I find this sensor ?

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