屈折率による|液体濃度計測技術の詳細
2018 年末に、ヴァイサラは産業用途向けインライン液体計測の先駆的企業であるフィンランドの K-Patents グループを買収しました。この買収により、気体計測から液体計測において、K-Patents グループの専門技術と製品群を拡充することが可能になりました。新しい製品分野となる液体計測分野では、さまざまな産業プロセス制御用途に向けて、定評のある屈折率(RI)技術と常時監視用の屈折計製品を提供します。
屈折率計測の基礎
科学者は、屈折率(RI)の計測を、液体の濃度を計測するための理想的な方法であると考えています。
その方法は比較的シンプルで、光の屈折に基づいています。たとえば、鉛筆を液体に入れたときに光の屈折性質がわかります。鉛筆が折れ曲がっているように見えますが、実際に曲がっているのは光のほうです。
多くの人は、炭酸飲料やジュースに入れたストローまたはボートのオールなどで、この現象を実際に経験しています。
この計測の原理で重要なことは、液体に粒子や気泡が含まれていても、折れ曲がりの角度は透明な液体の場合と同じであるという点です。粒子や気泡は折れ曲がりの角度にまったく影響を与えません。影響を与えるのは、液体の濃度の変化だけです。
臨界角
光の性質の研究から屈折率計測の技術が生まれました。
光は、異なる媒質中を異なる速度で進みます。媒質の密度が高いほど、その媒質内での光の速度は遅くなります。光がある媒質から別の媒質に 90° 以外の角度で入射すると、2 つの媒質の境界では光の速度だけでなく方向も変化します。光線が液体に入射すると、光線の一部は液体に向かって屈折し、一部は反射されます。全反射が始まる角度は臨界角と呼ばれます。
多くの溶液では、溶媒内の溶質の濃度は、RI(示差屈折率)を計測することで判断できます。屈折率と濃度の関係は、溶媒と溶質、温度、波長によって異なります。
実際には、波長依存性(分散)は、単色光を使用することによって回避できます。温度依存性は、補正式を使用して数学的に補正できます。
デジタルプロセス屈折計と堅牢な設計が 1 つに
当初、RI は研究室内の技術として開発されましたが、その後屈折計が開発され、数多くの研究が行われると、プロセス計測の技術へと移行しました。プロセスにおけるインライン屈折計の構造には、腐食性成分、振動、ほこり、熱、圧力、それらの組み合わせなど、非常に過酷な条件における耐久性が要求されます。
K-PATENTS®が開発したデジタルプロセス屈折計は、屈折の臨界角を計測してプロセス溶液のRIを判断します。臨界角はデジタル CCD カメラで計測します。このプロセス屈折計は、温度補正されたプロセス溶液濃度に比例する4~20mA DC 出力またはイーサネット信号を出力します。
K-PATENTS®が特許を取得済みの CORE(Compact Optical Rigid Element(コンパクト光学固定素子))光学モジュールの進歩もこの屈折計の大きな特徴のひとつです。1 つの固定モジュールに、LED(発光ダイオード)、レンズ、プリズム、CCDカメラなどのすべての光学コンポーネントに加え、温度素子 pT-1000が組み込まれています。CORE 光学モジュールは屈折計本体から分離されているため、圧力、流量、温度変化などの外力による影響を受けません。屈折計には可動部分やトリムポットがなく、半導体ベースのCORE光学モジュールを組み込んだ構造であるため、定期メンテナンスが不要です。
さまざまな屈折計のモデル設計に同じ原理が適用されているため、大小のパイプ、タンク、反応器に簡単に設置できます。爆発性のある危険な物質から、半導体ウエハーの処理に使用される製造用化学物質など、化学的に反応しやすく特殊な合金や非金属要素を必要とする液体まで、これらの屈折計の用途は多岐にわたります。
ヴァイサラプロセス屈折計は、密閉型で連続運用でき、プロセス制御システムの他の部品に接続できます。ただ、複雑でありながら耐久性があること、信頼性の高いインプロセス監視を実行できる素子を必要とすることから、持ち運びができる計測機器などと比較すると高価になります。
K-PATENTS®の革新的な屈折計は、独自の特許取得済み屈折率技術、内蔵型温度計測機能、デジタル計測原理に基づいています。計測安定性を保ちながらも、どのような液体の計測にも使用できる他に類を見ないソリューションといえるでしょう。
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