研究用温室への|ヴァイサラCO2センサの導入

GMP252 CO2 測定プローブ
Netherlands
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温室/室内農業
産業計測

オランダのワーゲニンゲン大学では、10年以上研究用温室にヴァイサラのCO2センサを使っています。植物科学において、二酸化炭素は非常に重要な測定パラメータです。二酸化炭素は、植物の成長に必要とされるだけでなく、環境に排出されて気候変動に影響を与えています。二酸化炭素は、大きな脅威でもあり、大きな可能性を持つものでもあります。世界有数の研究機関であるワーゲニンゲン大学による研究成果の価値は、センサの精度と信頼性に依存する部分があり、研究者がセンサの品質に妥協しないことが重要となります。

ワーゲニンゲン大学は、オランダの温室園芸の研究および技術開発を牽引する役割を担ってきました。ブレイスウェイクの敷地内には、植物研究所が管理する温室区画が100以上あり、多種多様な環境条件を作り出すことが可能となっています。一般的な環境変数としては、光、水、生育培地、養分、(生物的)病害虫対策、温度、湿度、そして二酸化炭素(CO2)などがあり、これらすべてが作物収量に大きな影響を与えます。 

オランダの園芸セクターでは、2040年までのクライメイトニュートラル(CO2の排出量を最小限にし、発生したCO2の量も環境保護対策によって相殺できるようにすること)の実現を目指しています。そこで、ワーゲニンゲン大学では新たに「Greenhouse2030」というデモ用の温室を建設し、野菜、果物、草花の栽培を行うことで、CO2排出量を削減する方法、作物保護用化学薬品の必要性をなくす方法、水や養分の最適な使用方法を模索しています。 



温室における二酸化炭素

CO2は、石油やガス、石油化学工業のさまざまな処理の過程で生成される副産物ですが、植物が光合成を行って成長するうえで必要なものでもあります。そこで、オランダの温室経営者たちは国内の工業分野と連携を取り、この副産物を活用することで、国内の正味のCO2排出量を低減し、気候変動への対策に貢献しています。世界中の温室経営者の多くは天然ガスの燃焼によりCO2を生成していますが、その際発生する熱は、夏には不要といえます。そのため、産業副産物を活用できれば、非常に好ましいでしょう。

CO2は、Organic Carbon Dioxide for Assimilation of Plants(OCAP)という会社が敷設したパイプラインを通じて、2005年に初めてオランダの温室に提供されました。このCO2の供給は大部分がバイオエタノール製造プラントからのもので、商業温室経営者が使用分に対して支払っています。この研究所の研究の重要な特徴として、植物の成長に関する変数とともに、CO2の利用の最適化に取り組んでいることがあげられます。一例として、CO2の補給に関するシミュレーションツール「CO2-viewer」を開発です。このプログラムでは、補給方法の効果を監視し、その結果が表示されます。たとえば、CO2の補給を正午ごろ行った場合と午前中に行った場合の比較ができます。 


二酸化炭素のモニタリング

研究所では、およそ10年間の運用を経て、従来の旧型センサプローブ約15 個を新型のセンサプローブに置き換えています。各プロジェクトの開始前に、認定を受けた基準ガスを用いて、すべてのプローブの校正が行われます。校正データがトレーサブルであることが重要であるため、各プローブの校正証明書が保持され、その後の校正結果が文書化されます。それ以上の校正が不要であっても、設置されたプローブをチェックするため、ハンディタイプの CO2計としてGMP252(CO2プローブ)とMI70(表示器)の組み合わせも検証ツールとして使用されています。

現在は、4~20mAの信号を出力するプローブが設置されており、そのプローブの信号が、温室を自動管理するようにプログラムされた環境制御装置に入力されます。また、このシステムでは、何らかの理由でCO2レベルが危険な水準に近付いた場合、アラームで警告します。


CO2センサ技術

CO2は、赤外領域の4.26μmの波長を吸収します。赤外線がCO2を含むガスを通り抜けるとき、放射された赤外線の一部が吸収され、その吸収量でCO2を計測することができます。ヴァイサラ CARBOCAP® 二酸化炭素(CO2)センサは、ファブリ・ペロー干渉(FPI)によるシリコンベースの小型波長可変フィルタが特長です。この可変フィルタにより、CO2に吸収される波長の測定と、吸収の発生しない波長のリファレンス測定を行うことができます。この可変フィルタにより、CO2に吸収される波長の測定と、吸収の発生しない基準波長のリファレンス測定を行うことができます。この電気的可変フィルタでリファレンス測定を行う際には、赤外線の透過波長を変化させ、吸収帯から非吸収帯へと切り替えます。これにより、光源の劣化や、光路の汚染などによる変化が効果的に補正されます。結果として、CARBOCAP®センサの長期安定性は非常に優れたものになります。1つのセンサで2波長の測定が可能なコンパクトな設計は、小型のプローブやモジュール、変換器に組み込むことができます。そのため、CARBOCAP®センサは長期にわたり高い安定性があり、1つのセンサで2つの測定が可能なコンパクトな設計となっており、小型のプローブやモジュール、変換器に組み込むことができます。

CARBOCAP®技術を利用することにより、校正やセンサの異常を気にする必要がなくなります。


二酸化炭素に関する植物科学の研究

現在、さまざまなCO2レベルが植物生産に与える影響を評価する2つのプロジェクトが進められています。1つはソフトフルーツ(ベリー)、もう1つはトマトを研究対象としています。ただし、CO2は植物の成長だけでなく、気候変動にも大きなかかわりがあるため、二酸化炭素の正確な測定の重要性は高まり続けています。現在ではほとんどの温室が研究所のイーサネットに接続されており、モニタリングネットワークには常に多種多様な新しいセンサが追加されているため、新しい「スマートな」センサの活用が可能になっています。


まとめ

ブレイスウェイクでは特に、ある温室と別の温室のデータを比較することが多いため、研究を成功させるには、CO2センサの精度、安定性、信頼性がきわめて重要です。CO2の供給には費用がかかるため、植物の生産を最適化できるよう、監視と供給が効果的に行われることが重要です。 

化石燃料の使用量を削減し、より効率のよいエネルギー管理システムを開発すれば、温室分野のCO2排出量の削減に役立つことは明らかです。しかし、2040年までにクライメイトニュートラルを達成するという目標が掲げられており、排出されるCO2を持続可能で経済的にも実行可能な形で回収するために、新しい方法が世界中で求められていることを考えると、CO2利用の重要性は今後さらに高まることでしょう。

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