湿度の計測と管理は、さまざまな産業用途で必要とされます。用途によって湿度計測機器に求められる要件は異なります。計測範囲、極端な温度・圧力条件への耐性、結露からの回復能力、危険場所での動作、設置・校正オプションなど、さまざまな要件があります。すべてのニーズに対応できる単一の機器は存在しません。実際、販売されている製品は多岐にわたり、コストや品質もさまざまです。
高湿度環境に適した計測機器
ここでは、相対湿度が90%を超える環境を高湿度環境と定義します。相対湿度90%では、温度差が2°Cあるとセンサに結露が生じる可能性があります。換気されていない空間では、乾燥するまでに数時間かかることもあります。ヴァイサラの湿度センサは結露から復帰可能です。ただし、結露した水分が汚染されていると、センサに付着物、特に塩分が堆積し、計測機器の精度に影響を与える可能性があります。センサの寿命が短くなることもあります。結露が発生する可能性のある高湿度環境では、Indigo対応のHMP7 HUMICAP® 湿度・温度プローブやHMT337 HUMICAP® 湿度・温度変換器のような加温型センサヘッドプローブを使用する必要があります。
低湿度環境に適した計測機器
ここでは、相対湿度が10%未満の環境を低湿度環境と定義します。低湿度環境では、相対湿度を測定する計測機器の校正精度が不十分な場合があります。代わりに、露点を測定することで湿度の適切な指標を得ることができます。例えば、DRYCAP® 製品は露点計測向けに設計されています。
圧縮空気システムでドライヤーが故障すると、結露が発生し、計測機器の復帰が必要になる場合があります。多くの露点センサは、このような状況で破損または故障しますが、DRYCAP®露点センサは高湿度、さらには水分スパイクにも耐えることができます。
極端な温度・圧力条件に適した計測機器
極端な温度への継続的な暴露は、時間の経過とともにセンサやプローブの材質に影響を与える可能性があります。そのため、過酷な環境に適した製品を選択することが非常に重要です。温度が60°Cを超える場合は、変換器の電子回路部をプロセスの外部に設置し、適切な高温プローブのみを高温環境内に挿入する必要があります。
さらに、温度の大幅な変動や極端な温度下での使用による誤差を最小限に抑えるため、すべてのヴァイサラ湿度計測機器には温度補償機能が内蔵されています。
環境圧に近いプロセスでの湿度計測では、わずかな圧力リークは許容範囲内であり、プローブやケーブル周囲のシーリングで対処できます。しかし、外部環境から完全に隔離する必要があるプロセスや、外部環境との間に大きな圧力差が存在するプロセスでは、シールされたプローブヘッドを適切に取り付けて使用する必要があります。
挿入部分に圧力リークが発生すると、その場所の湿度が変化し、測定値が不正確になります。ボールバルブを使用すると、プローブをプロセスのガス流から隔離できます。ボールバルブを使用すれば、メンテナンス時にプロセスを停止することなくプローブを取り外すことができます。Indigo対応のDMP8 露点・温度プローブ(設置深度が調整可能、加圧パイプライン向け)またはDMT348 露点温度変換器(加圧パイプライン向け)をご参照ください。
露点計測にサンプリングシステムが必要なのはいつですか?
可能な限り、プローブは実際のプロセスに取り付けて、最も正確な計測と迅速な応答を実現してください。ただし、直接設置が常に実現可能とは限りません。このような場合、インラインに設置されたサンプルセルが、適切な計測プローブの挿入ポイントとなります。
なお、外部サンプリングシステムは相対湿度の計測には使用しないでください。温度変化が計測に影響を与えるためです。ただし、サンプリングシステムは露点プローブと組み合わせて使用できます。
露点計測におけるサンプリングシステムの用途としては、プロセスガスの温度低減、粉塵汚染からのプローブ保護のほか、プロセスを停止させずに計測機器を容易に脱着できるようにすることなどが挙げられます。
最も簡単な露点サンプリングの構成は、露点変換器をサンプルセルに接続するものです。ヴァイサラでは、一般的な産業用途やサンプリングニーズを満たすさまざまな製品を提供しています。たとえば、設置が簡単なDSC74サンプルセルは、圧縮空気用途の流量・圧力条件に対応するよう設計されています。
厳しいプロセス条件では、サンプリングシステムを綿密に構築する必要があります。露点は圧力に依存するため、流量計、圧力計、特殊チューブ、フィルタ、ポンプなどが必要になる場合があります。
加圧システムの場合、プロセス圧力によってサンプルセルへの十分な流量が得られるため、サンプルポンプは必要ありません。サンプルシステムで露点を測定する場合、冷却コイルや接続管の周囲温度が露点温度の10°C以内であれば、トレースヒーティングを使用する必要があります。これにより、露点計測機器とプロセスをつなぐ配管内での結露を防ぎます。
危険環境
爆発危険区域では、適切な認証を受けた製品のみを使用できます。たとえば、ヨーロッパでは、2003年より義務化されているATEX 100a指令に製品が準拠する必要があります。
本質安全構造製品は、万が一故障した場合でも、特定の種類のガスに点火できるほどのエネルギーを発生しないよう設計されています。本質安全製品と安全区域間の配線は、安全バリアによって隔離する必要があります。HMT370EXシリーズの本質安全防爆型湿度変換器は、このような危険環境向けに設計されています。
衝撃と振動
プローブが強い衝撃や振動を受けやすい場合、プローブの選択、取り付け方法、設置場所などを慎重に検討する必要があります。
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工業プロセスや施設での湿度計測は、一般的にエネルギーの節約と最終製品の品質向上につながります。また、最適な湿度は優れた室内空気質にもつながります。
ヴァイサラの湿度計算機、湿度換算式、計測用語集、本質安全防爆に関する知識、理論および実践的な湿度に関するウェビナーと動画、乾燥シミュレータ、使用事例、一般的な用途や計測機器などをご利用いただけます。
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ヴァイサラ湿度計算・変換ソフト
相対湿度、絶対湿度、湿球温度、エンタルピー、水分濃度など、湿度の計算と変換が簡単に行えます。
Juhani Lehto氏は産業計測とセンサ技術で10年以上の経験を持っています。フィンランド・エスポーのアールト大学で技術の理学修士号を取得しています。