オイル内水分計測による予防保全

ヴァイサラのオイル内水分計測による予防保全:工業用ギアと潤滑
Justin Walsh | Vaisala
Justin Walsh
Business Development Engineer
Published:
産業製造・プロセス
産業計測

水分は、さまざまな用途やプロセスにおいて既知の汚染物質となっていますが、とりわけ産業用オイルにおける水分の存在は有害となる場合があります。水により粘度が高まり、キャビテーション(空洞現象)が生じることが知られており、オイルの品質や性能に影響します。添加剤や油膜強度も劣化し、生物学的汚染や腐食の可能性も生じます。

 

「水と油」という言葉は溶け合わないもののたとえとして使われますが、実際には水と油は混ざります。油と共存する水分には、溶解水、乳化水、フリーウォーターという3種類の状態があります。溶解水は自然状態であり、個々の水分子が油の中に拡散した状態で、水分子が空中の湿度として認識される状態と似ています。乳化水とフリーウォーターは、油が飽和状態になり、油の中で水が浮遊、遊離している状態です。この後者の状態が特に有害性が高く、油圧装置や潤滑装置、その他の産業用装置のメンテナンスにおいて課題となります。 

 

産業用オイルは、オイル内の絶対水分量の許容レベルにさまざまな違いがあります。オイルはいずれもベースストックがもとになり、さまざまな物理的性質や化学的性質を実現するために使用する添加物によって違いが出ます。オイルは使用に伴い、経年変化により状態が劣化し、異物が混入します。酸化が始まる場合もあります。これによりオイルが保持する溶解状態の水が増加し、飽和点が変化します。この変化が重要であり、どの計測パラメータが予防保守にもっとも重要であるかに影響します。従来のppm(百万分率)の計測は、オイルの経年変化とともに十分に意味をなさなくなります。そこでヴァイサラでは、溶解水分量の指標として水分活性(aw)と相対水分飽和度(%RS)のパラメータを標準として採用しています。awと%RSのパラメータはオイルの種類に左右されず、温度変化や飽和点の変化の原因となるため、予防保守に役立つ計測値となります。

 

オイルの飽和点に対する水の相対的溶解度がわかれば、オイルと水の分離が始まるタイミングを予測するうえで優れた指標となります。この情報を利用して、水の混入の問題を検出することや、メンテナンス作業の実施時期やオイル交換の間隔を判断することもできます。

 

危険を伴うオイル内の水の蓄積を検出するには、まず信頼性と正確性に優れた計測が必要であり、オイル内の溶解水の計測にはさまざまな方法があります。従来の手法ではサンプリングにより分析が行われますが、リアルタイムの情報を得られるのは、高分子静電容量式センサを使用した直接的インライン計測のみです。このようなインライン計測では連続的なデータが得られます。そのデータに基づいて迅速に対応することで、有害な状態を未然に防ぐことができます。このような情報が利用できると、省エネや予防保守のスケジューリング、異常の表示などで、大きな費用対効果が得られます。

 

ヴァイサラではオイル内水分の計測に独自の HUMICAP® センサ技術を使用しています。この HUMICAP® センサは、オンラインでオイル内水分を計測できる初めての製品となりました。センサの材料は、炭化水素内の水分レベルが非常に低い場合でも計測できるように特別に開発されており、計測においてはオイルの温度も考慮されます。ヴァイサラは、50 年近くにわたり気体やオイル用の静電容量式の水分センサを開発および製造してきた経験をもち、潤滑システム、海運業界や製紙工場など、さまざまな業界でのセンサの応用に関して市場を牽引する存在となっています。当社のクリーンルームで組み立てられるセンサは、条件の厳しい用途でも正確で長期安定性に優れた計測を実現します。

 

オイルのメンテナンスでは、湿気の除去がもう1つの重要な要素となります。高品質なオイルを実現する一般的な方法としては、真空脱水や、吸水性フィルタを使用したさまざまなタイプのろ過があります。 オンライン乾燥では、オイルの品質を短時間で改善できますが、この改善は長く続かない場合があります。継続的なモニタリングを行うのが賢明であり、多くの場合、再度乾燥を行う必要が生じます。オンライン乾燥を効果的に行うには、品質管理のための継続的な取り組みと一貫性のある水分計測が必要となり、サンプリングでは対応できません。

 

ヴァイサラの HUMICAP® 技術にはさまざまな導入形態や組み込みの方法があり、柔軟にお選びいただけます。ポータブル計測器やスマートプローブから、高度な変換器やOEMソリューションまで、ヴァイサラのオイル内水分計測機器は、お客様の設備投資を保護できるよう設計されています。

8 月 27 日木曜日米国東部夏時間午後 2 時からの産業品質管理のためのオイル内水分計測に関するウェブセミナーにぜひご参加ください。産業用オイルに含まれる水分の危険性、インライン静電容量センサの利点、機器の摩耗を低減しコストを抑える予防保守の手法についてお話しします。こちらからご登録ください(英語)。

 

Comment

Sharad

Aug 3, 2020
How can water increase the viscosity of Oil? Please elaborate

Anthony Cote

Aug 3, 2020
Thank you for your question Sharad! We appreciate the interest in our blog!

Water contamination can result in higher viscosities when it becomes saturated and emulsified. These water in oil emulsifications display an increase in viscosity within certain ranges of water content, which vary according to temperature and pressure.

If you haven't already, we would love to have to join our webinar "Oil Moisture Measurement for Industrial Quality Control" August 27th at 2pm. We will discuss moisture in industrial use oil in greater detail and welcome any follow-up questions you may have. Please find the registration link in the "Webinars" section of our website under the "Upcoming" section.

Please let us know how we can help further.

Shayur

Mar 4, 2021
Great piece that does a good job of showing the benefits of preventative maintenance on equipment and machinery.

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