CO₂と製薬ロジスティクスのコールドチェーン 

ワクチンの研究、生産、保管に適したセンサとモニタリング
Suvi Heimola
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産業計測
ライフサイエンス

ワクチンやその他の命を救うような医薬品が研究室から患者に至るまでの道のりは、複雑なバレエのようなものです。現在世界中で展開されている新型コロナウイルスワクチンの第1陣のように、重要な医薬品の保管と輸送には、コールドチェーンと呼ばれる慎重に制御、調整された一連のステップが必要です。

どんな些細な流通の断絶でも、コールドチェーンにおいては大きな害を引き起こす可能性があります。特にワクチンの場合、患者に投与する準備が整うまで、常に限られた温度範囲内に保つ必要があります。最も一般的な方法の1つはドライアイスを使用することです。ドライアイスは冷却された液体状のCO₂からブロックまたはペレットを形成することによって作られます。製薬会社のコールドチェーンの場合、輸送中に必要な温度安定性を維持するという点で、ドライアイスに匹敵するものはありません。


取扱に注意

しかし、潜在的な課題があります。昇華、すなわちドライアイスからのCO₂ガスの自然放出です。十分にCO₂を放出できないものにドライアイスを詰めると、爆発の危険があります。航空機の貨物室やトラックのような密閉空間など、周囲の外気に過剰なCO₂を放出すると、製品を輸送する者の健康と安全が別の形で危険にさらされる可能性があります。

CO₂は大気中に存在しますが、約400ppmという低レベルです。CO₂は酸素に取って代わるため、高濃度は非常に危険です。そして、CO₂は完全に無臭であり、人間の鼻では検知できません。10,000ppm(1%)という高レベルにさらされると、眠気、胸の重苦しさ、頭痛、発汗を引き起こす可能性があり、5%を超えるレベルは有毒と見なされます。10〜15%のCO₂を含む空気にわずか1分間さらされると意識を失い、17〜30%のレベルではそれよりもさらに短い時間で致命的な曝露が発生します。 

そのため、正確で信頼性の高い CO₂ モニタリングによって、低温輸送チェーン全体で安全な作業環境と製品品質を維持することが重要です。

ヴァイサラからの支援

CARBOCAP®技術を搭載したヴァイサラのCO₂センサには、コールドチェーンを含む産業用途のCO₂計測において、20年という輝かしい実績があります。リファレンス計測が組み込まれているため、最も過酷な条件でも、非常に安定した正確な長期計測をすることが可能です。

ヴァイサラ CARBOCAP® GMP252 二酸化炭素プローブは、過酷で湿度の高いCO₂計測環境に最適なインテリジェントでスタンドアロンタイプのppmレベルプローブで、Indigo製品シリーズの一つです。

ヴァイサラのスマートプローブ用 Indigo200 シリーズ変換器は計測データの評価と視覚化を容易にします。過酷な環境にも理想的で、ほこりやほとんどの化学物質に耐性があります。 

最後に、ヴァイサラ GM70 ハンディタイプ二酸化炭素計測器がありますが、これは、ドライアイスの使用中やCO₂冷凍中の安全性の確保など、スポットチェック用途向けの高精度で使いやすいユニットです。GM70ポンプは、ポンプ吸引サンプリングとハンドヘルド拡散サンプリングの両方が可能です。

CO₂計測のページから、CO₂の計測方法に関するガイドをぜひダウンロードください。

CO2 計測とその活用方法の詳細については、お問い合わせください。 

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