赤外線センサ技術と一般空調設備での二酸化炭素濃度の計測精度への影響
最新式の換気システムでは、外気処理に要するエネルギー量を最小にするため、屋内の空気を再循環させて います。室内空気質の指示計として二酸化炭素濃度測定センサを使用することで、エネルギー消費を最適化しつつ、新鮮な外 気を建物の利用者に提供できます。
最新式の換気システムでは、外気処理に要するエネルギー量を最小にするため、屋内の空気を再循環させて います。室内空気質の指示計として二酸化炭素濃度測定センサを使用することで、エネルギー消費を最適化しつつ、新鮮な外 気を建物の利用者に提供できます。
一般空調設備向けCO2センサは、設置後長期間にわたって、時には製品寿命が尽 きるまで、メンテナンスがほとんど、また はまったく不要で動作するのが一般的です。そのため、信頼性の高い正確な計測 を長期にわたって実行できるセンサを選 ぶことが重要になります。あらゆる赤外 線CO2センサは同じ計測原理で動いて いますが、技術的ソリューションと計測性 能には大きな差異があります。
単光源単一波長方式センサは、赤外線光 源、測定チャンバー、検出器からなる単純な構造をしています。このタイプのセンサの課題は、かなり長 期にわたるドリフトです。CO2センサの典 型的な赤外線光源である小型白熱電球 の光強度は、時間の経過とともに変化し ます。また、塵や埃がセンサ表面に付着し ます。センサはこうした変化をCO2濃度の変化であると誤って解釈し、長い目で見ると信頼性に欠ける計測となってしま います。
ニ光源単一波長方式センサには、 赤外線光源のドリフトを補正するため補 助的な赤外線光源が付いています。この 補助光源はほとんど始動しないため、劣 化しないというのがメーカーの説明です。この方式では、センサ構造が不必要に 複雑になり、補助的な赤外線光源によっ て故障し得る箇所が増えてしまいます。加えて、塵や埃がセンサの周囲に均等に付着することはまずありません。結論として、このセンサ構造は比較的信頼性が低いといえます
単光源ニ波長方式センサは、単光源単 一波長方式センサやニ光源単一波長方 式センサとは異なり、性能に影響を与え るドリフトの問題がありません。一般に 高価なフィルタ・ホイール分析器に用い られるこの技術は、吸収波長だけでな く、吸収の影響を受けない参照波長でも 計測を行います。 ヴァイサラは、単光源ニ波長方式センサ をコンパクトな構造にまとめ、産業用変換器に利用できるようにしました。電気的波長可変FPI(ファブリー・ペロー干渉計フィルタ)を検出器の前面に設置する ことで参照波長を計測します。微小機械FPIフィルタを電気的に調整す ることにより、CO2計測波長と参照波長 を切り替えます。参照測定によって赤外 線光源の強度の変化と光路の塵の蓄積 が補正されるため、複雑な補正アルゴリ ズムは不要になります。簡素でコスト効率の良い単光源ニ波長方式センサは、長期にわたり極めて安定性が 高く、メンテナンスも最小限で済みます。
大半の赤外線CO2センサは、赤外線光源として小型白熱電球を使用していますが 、これはセンサにとって理想的な光源ではありません。まず、電球一つひとつの初期の光強度にばらつきが大きいため、導入が困難です。第2に、細フィラメ ントからタングステンが蒸発しガラスの 表面に付着するため電球の壁が黒ずむ という、特有の不安定性があります。フィラメントが薄くなるにつれ、出力強度は 次第に低下します。参照測定を行わない センサ(単光源単一波長方式およびニ光 源単一波長方式)の長期安定性は大幅に 損なわれます。その他の短所として は、消費電力が比較的多いことと、製品寿命が限られることが挙げられます。
次世代の赤外線技術であるMicroglow は、従来の赤外線光源に影響を与えてい た数々の課題を解決します。Microglow の主な利点は、赤外線光源の寿命 延長、消費電力の削減、品質の均等性、大 量生産における優れた製造性です。 白熱電球をMicroglow技術に置き換え ることで、センサの動作寿命が50%伸び る一方、消費電力は従来の赤外線光源 のわずか25%で済みます。 白熱電球から発生する大量の熱は、多重パラメータ変換器のCO2測定だけでな く、湿度温度測定の適用性にも制約を与 えます。温度に依存するパラメータである湿度は、熱源の近くでは正確に測定で きません。Microglowの特質である低 消費電力により、CO2計測と同じ変換器筐体で高品質な湿度計測が行え、センサ のウォームアップ時間も短縮できます。 単光源単一波長方式センサ(参照測定を行わないセンサ)と比較した場合のヴァイサラ単光源ニ波長方式 センサ(参照測定を行うセンサ)の長期安定性 詳細は以下よりお問い合わせください。
Microglowの光強度は、その製品寿命 全体にわたり、非常に安定しています。その他の利点としては、応答時間の短さと、チップを直接コンポーネント基 盤に自動組立できるという優れた製造性 が挙げられます。