ヴァイサラ、 パレルモ空港の 航空安全を向上
顧客:
エンドユーザー:
イタリア航空管制公団(ENAV)
パートナー:
Eurelettronica ICAS社
ヴァイサラのソリューション:
AviMet® 低空ウィンドシアー警
告システム、ウィンドシアー警
報ソフトウェア
課題: イタリアのパレルモ・プンタ・ライジ空港は、近く のペコラーロ山と地中海が近いことで引き起こされ る深刻なウィンドシアー現象の影響を受けやすい空 港です。
ウィンドシアーは、風速や風向が急激に変化する現 象のことをいい、航空機が意図した飛行経路から外 れる原因となります。そのため、ウィンドシアーの 影響を受けやすい空港では、ウィンドシアー現象を 計測し、パイロットにウィンドシアーの警告を発す ることがきわめて重要となります。
最終進入時と離陸時の経路は、統計的に飛行機にと って最も危険な飛行段階とされています。これら の段階では、飛行機が地面に非常に接近しているた め、突然発生したウィンドシアーに対してパイロッ トが操縦したり、エンジン出力を調整したりする時 間や余裕はありません。
適切な計測と警報システムがなければウィンドシア ーの予測は難しく、非常に危険な事故につながる可 能性があります
アプローチ: ヴァイサラのウィンドシアー検知システムは、飛行 の安全性を向上させる目的を果たし、パイロットが これらの状況下で正しい飛行手順を取ることができ るようにします。
2017年、Eurelettronica ICAS 社は、ヴァイサラと ともに、近くのペコラーロ山によって発生するウィ ンドシアー現象の影響を受けやすいパレルモ空港の 特有のニーズに対応した統合型ウィンドシアー検知 システムを提供しました。このシステムは、1990年 代からヴァイサラが顧客関係を構築しているイタリ ア航空管制公団(ENAV)によって実施された公開 入札に応えて開発しました。
ヴァイサラ低空ウィンドシアー警告システム (LLWAS)、WindCube Scan、Xバンド気象レー ダーシステムのウィンドシアーデータを統合した Vaisala AviMet® ウィンドシアー警報システムがそ のソリューションとなりました。
ヴァイサラとEurelettronica ICAS 社のENAVとの長期にわたる信頼 関係や、ENAVのニーズを満たす 能力に加えて、ヴァイサラの優 れたノウハウ、革新的なソリュー ション、最高クラスのスキャニン グライダーの導入が評価されまし た。
結果: 包括的なソリューション
パレルモ・プンタ・ライジ空港の処理機能と中核と なる統合はヴァイサラが行いました。それを可能に するのは、ヴァイサラがレーダー処理、ソフトウェ ア開発、航空気象、特にウィンドシアーアプリケー ションに関する深い知識、経験、技術を有するから です。ヴァイサラが提供するウィンドシアーアルゴ リズムは、米国連邦航空局(FAA)における経験に 基づいており、接続された各システムによって生成 された英数字の滑走路警報メッセージを取り込み、 統合された警報メッセージを生成します。
ヴァイサラのAviMet®ソリューションで実行する統 合アルゴリズムは、低空ウィンドシアー警告システ ム(LLWAS)エンジンに基づいており、パレルモ空 港の滑走路周囲にある風速計のネットワークから収 集された風況データを解析することによってウィン ドシアーを検知します。地表面風速場の発散と収束 は、3組および2組の風速計の風況データから推定さ れ、検知された地表面風速場の発散と収束は、警報 の発報に使用される前に、統計的有意性についてテ ストされます。
パレルモ空港の場合、パレルモ空港の空域内のあら ゆる潜在的な危険ゾーンをリアルタイムでスキャン し、風況とエアロゾルを計測するとともに、10 km 圏内のウィンドシアーを検知することが重要でし た。これらのニーズを満たすために、プロジェク トに WindCube Scanも導入しました。このスキ ャニングウィンドライダーは、国際民間航空機関 (ICAO)の推奨に従って、空港環境でのウィンドシ アーを検知するように特別に設計されています。ま た、降雨時もリモートでウィンドシアーを検知する ため、Xバンド気象レーダーもシステムに搭載され ました。
ウィンドライダーとXバンドレーダーのサブセット によって検知された気象シナリオをグラフィカルに 表示し、関連するウィンドシアー警報を正確に発 報するために、実績のあるヴァイサラ気象レーダー IRIS ソフトウェア一式も組み込みました。このよう に、Eurelettronica ICAS社とヴァイサラは、2017 年の夏にパレルモ・プンタ・ライジ空港にオーダー メイドのソリューションを納入しました。風に関す る深刻な課題を抱えるいくつかの大規模の空港で は、同様の統合ソリューションが必要になる可能性 があります。
