気象状況によって屋外湿度の計測が困難になる場合があります。そのため、屋外の相対湿度計測や湿度に基づく計測パラメーターを活用して冷却機器のエネルギー効率を最適化している建物の HVAC システムにとって、その性能を確保する上で適切なセンサーの選択は必須です。屋外の湿度センサーが正確でなければ、ビル管理、エネルギー効率、快適性を最適化することはできません。センサーの選択は軽視されがちですが、建物所有者にとって、建物の寿命を通して定期的に取り込む必要のある重要な決定です。

フリークーリング

外気温度が十分に低く乾燥している場合、外気冷却方式による温度制御であれば外気をそのまま建物の冷却に利用することができます。この方式は「フリークーリング」として知られています。フリークーリングのエコノマイザーは、外気・還気ダンパー、ダンパーアクチュエータ、外気エンタルピー(温湿度)センサーまたは乾球(温度のみ)センサー、排気温度センサー、エコノマイザー制御器といった部品で構成されています。エコノマイザーによっては、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーより低い場合に、外気を利用してエンタルピーを制御するものもあります。ただし、低温または低エンタルピーの外気が大きな水分負荷を保持している場合があります。より優れたソリューションとして、建物内部に水分が溜まるのを防ぐために、望ましい室内露点レベルより低い露点温度の外気だけを使用する方法が挙げられます。

ウォーターサイドエコノマイザーでは、作動液(冷水)がチラーを迂回してクーリングタワーで直接冷却される際にフリークーリングの状態になります。クーリングタワーは、水の蒸発を利用して、プロセス熱を除去し、湿球温度近くまで作動液を冷却します。作動液と蒸発液には、通常はいずれも水を使用するのが一般的です。クーリングタワーの効率を求めて、フリークーリングのサイクルを開始するには、屋外湿球温度の計測が必要です。この方法は、空気の湿球温度が乾球温度をかなり下回る、低温で乾燥した気候に適しています。

エアサイドエコノマイザーまたはウォーターサイドエコノマイザーのいずれの方式の場合でも、施設管理者は正確な情報を得られる屋外センサーに頼らざるを得ません。センサーのドリフトや不安定性は、とりわけデータセンターのようなエネルギーを大量に消費する施設に弊害をもたらします。露点、エンタルピー、湿球などのパラメーターを計算するには、高品質で精度の高い屋外湿度変換器が必要です。信頼性の高い屋外センサーは結露から回復させる機能を備えているほか、結露を防止するための加温機能を内蔵したセンサーもあります。

屋外変換器ポートフォリオ

このセンサー技術がヴァイサラの屋外湿度変換器に組み込まれており、極めて過酷な屋外条件下においても精度と安定性が保たれます。ヴァイサラ HUMICAP® センサーは、結露から完全に回復します。高湿度環境における結露対策として、加温機能もオプションでご利用いただけます。ヴァイサラの屋外変換器ポートフォリオには、さまざまな湿度パラメーター(相対湿度、露点、湿球、エンタルピー、混合比)、温度、風向風速、降水量、CO₂、大気圧などを計測する製品が含まれています。変換器は、ほとんどの気候に対応できる広範な動作温度範囲、柔軟な設置オプション、風雨から保護するための日射やラジエーションシールドを備えています。
 

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